ガイアの夜明け 技術者の異分野への挑戦。富士通の野菜工場、サクラクレパス元シャープ 釆山(うねやま)和弘の場合。

日本はものづくりの強さで経済発展を遂げてきましたが、リーマンショック以後、技術競争の激化や企業の収益に悪化に伴って、技術者の需要が減ってき ました。それに伴い、第一線で頑張ってきた大手家電系の技術者の活躍の場が減り、彼らは苦境に立たされています。そんな中、技術者の培ってきたノウハウを 異業種で活かそうとする動きが出てきました。今日はガイアの夜明けで紹介される富士通とサクラクレパスの例を紹介したいと思います。

富士通の場合

富 士通と言えば、パソコンやスマホなど一般消費者にも馴染みの商品を作っているIT系ハード及びその周辺ビジネスを行っている大手メーカーです。富士通で は、2013年から半導体の需要の落ち込みに伴って休眠する会津若松工場を使って、なんとレタスの栽培を行っています。しかもただのレタスではなくて、カ リウム含有率の低いリーフレタスです。低カリウム野菜は、カリウムの摂取制限がある透析患者、腎臓病患者も安心して食べられる野菜だそうで、摂取制限があ る人は野菜の生食は禁物だが、低カリウム野菜ならそのまま食べられます。

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国内には透析患者は30万人、慢性腎臓病患者は1330万人、世 界には推定6億人の腎臓病患者がいるらしく、市場は大きいです。富士通が参入しても野菜農家の市場を奪うこともないので、会社によると「会津若松工場の有 効活用策になるし、東北の復興支援 にもなる」と、参入を決めたそうです。

その事業に、半導体の技術者が関わっています。元々、野菜を育てるクリーンルームなどのインフラは既にありますし、半導体事業で培った生産管理、品質管理、原価管理のノウハウはそのまま野菜作りに転用できます。

また、農業の分野はIT化が遅れているので、工場などで培った野菜の生産技術をクラウドと連動させてサービス化することもやっているそうです。このアイデアの切り口は大変おもしろいと思います。

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FUJITSU Intelligent Society Solution 食・農クラウド Akisai(秋彩)

サクラクレパスの場合

サ クラクレパスといえば、文具メーカーとして有名ですが、大手電機メーカーの技術者の採用を積極的に行っているようです。今回取り上げられる釆山(うねや ま)和弘さんもそんな取り組みの一環で、シャープの早期退職後、サクラクレパスに入社しました。シャープでは、精密技術開発センター・研究員だったそうで す。

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サクラクレパスは、プラズマの状態を色で検知する技術を持っているが、これまでは医療機器向けにしか活用されていなかったので、 エレクトロニクス業界の知見を生かした技術改良を出したいと思っていました。半導体や太陽電池など幅広い分野の技術に詳しい釆山さんはうってつけの人材で 「文具メーカーとタッグを組んで世の中に新しいものを 出したい」と転職を決めました。

釆山さんは産学共同の拠点に籍を置いて、研究を重ねています。実験予算が限られているので、社長に直談判したり、昔の伝で機材を安く買ったりしながら頑張っておられるそうです。

ど んな研究をされているのか、気になって調べてみました。昨年の日経の釆山さんの記事の最後に「政府の審査会でプレゼンをして助成金を獲得した」とあったの を手掛かりに調べますと、今年の6月1日に、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業で出来た製品のリリースが、サクラクレバスと共同で出ていたので、恐らくこれなんじゃないかと 思います。

プラズマ強度を瞬時に判断できるプラズマインジケータを開発

中身はあまり想像がつかないので、asciiの記事を引用させていただきます。

エ レクトロニクス製造では、プラズマを用いた処理が各種工程に多く用いられている。装置内でプラズマガスがどのように分布するのかという強度分析に は、主にプローブ電極や光学的な測定が使われているが、プローブの場合はポイントごとにプローブを設置、光学的な測定では装置に外から見える窓を作る必要 があり、装置の構造や手間などの問題があった。

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各種プラズマに対する変色性

サクラクレパスでは国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として、プラズマによって変色する無機材料を耐熱性ラベルとして製品化。柔軟性・粘着性のある ラベルを装置内に貼り付けてプラズマ処理すればラベルが変化した色によってプラズマ強度を知ることができ、測定時間は従来の1/10に短縮できるという。

出典:http://ascii.jp/elem/000/001/013/1013624/

確証はないのですが、おそらくこの成果なんじゃないですかね。テレビ的にもいいネタですし(笑)

まとめ

技術者の方はこれからも更に海外との競争などで、今まで続けてきた研究や技術のスキルアップが出来る環境を奪われていく可能性があります。そのような環境の中で、このような動きがあるのは心強いですよね。今後もこういった動きが活発になってくれることを期待しています。

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