ダニといえば、夏なんか掃除をサボっていると家の中で繁殖し、寝て起きたら刺されて赤くはれたなんてことありませんか?それだったら、「あーダニに 刺されちゃった(汗)」で済みます。ま、これらは、主にコナヒョウダニ、ヤケヒョウダニっていうチリダニの種類で、他に、イエササラダニ、ツメダニ、ケナ ガコナダニ、イエニクダニ、ホコリダニというものです。
しかし、最近話題になっているのはこれらとは別格に恐ろしいダニです。その名もマ ダニ!別名殺人ダニの異名を持つほど大変な相手なのですが、このマダニとは一体どういったものなのか?ハーラーという器官を持っており、哺乳類から発せら れる体臭、二酸化炭素、体温、物理的振動に反応し、草などから飛び乗り、吸血を行います。いわば、ハーラーは獲物を探すセンサーのようなもの。
ツ メダニは、大型なダニで、一般的に自分よりも小さいコナダニ、チリダニを見つけ捕食します。そのため人間にも噛みつくことはありますが、吸血は行いませ ん。また、他のダニは基本的に噛まずに針状の口吻を突き刺し吸血を行うのに対し、マダニは噛みつき吸血を行います。それも、鋏の形をした硬い口器を持って おり、これで皮膚を切り裂き、血液プールから吸血を行います。
一見これだけだと、ただ単に吸血を行う、ちょっと痛そうだけどそんなに問題 はなさそうにも思えるのですが、マダニの何が人を殺傷まで追い詰めることができるのか?問題となっているのは、マダニがもっているSFTSウイルスという ものです。マダニに噛まれると血液からこれが感染してしまうんですね。
コレに感染してしまうと、潜伏期間6日~14日の潜伏期間を経て、 重症熱性血小板減少症症候群にかかってしまいます。初期症状として、発熱、食欲低下、嘔吐、下痢、腹痛、その後、頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経 症状、リンパ節の腫脹、皮下出血や下血という筋肉から神経まで侵されてしまうのです。更に、感染者のうち6.3〜30パーセントが死にいたるとされている ので、恐ろしい話しです。ダニに噛まれただけでこのような重病になるので厳重注意が必要です。
重症熱性血小板減少症症候群以外の病気を持っているかも。
マ ダニは恐ろしいことにコレ以外にも病気を持っている可能性があります。理由としてはマダニは人間以外にも他の野生の哺乳類の血液を吸います。そうするとど うなるか?野生の哺乳類といえば、病原体をたくさん持っています。そこから病原体を吸いとり、人間に噛みついたら…そういうことなんです。その中の一 つに重症熱性血小板減少症症候群という病気があるわけですが、他に、ライム病、日本紅斑熱も感染することも。
ライム病
病 原体のボレリアが感染することで生じる病気です。主にネズミやシカが持っているもので、マダニに吸血されてから48時間経過すると感染リスクが高まるとい われています。症状としては、傷口から赤い斑点があらわれ、その後、全身の倦怠感、寒気、頭痛、嘔吐、発熱、関節痛といったものです。
日本紅斑熱
症 状は風疹ににていて、発疹、発熱が主な症状です。病原体、日本紅斑熱リケッチアが感染することで生じる病気で、これも毎年50人~100人程度の感染者が いまして、コレまでに4件の死亡例が報告されています。重症熱性血小板減少症症候群よりは危険リスクが低いとはいえますが、それでもやはり恐ろしい病気で す。
では、どのように注意すればいいのか?
山岳地帯や藪へ入る場合は長袖長ズボン
基本的にマダニは家ダニとはことなり野山にいるダニですので、ですから山岳地帯や藪へは必ず長袖長ズボン、軍手つけ、できるだけ肌の接触を避ける状態で入りましょう。
笹や草木のあるところは要注意
マダニが生息している場所は、笹や、草木の多く茂った場所です。そういう場所には動物があらわれることが多く、それを待ち構えていることが多いので、あまりそういう場所へは行かないようにしましょう。
けもの道は避ける
マダニは動物の血液を欲しています。ですので動物がいる場所は要注意です!
帰宅後は全身チェック
帰宅したら家に入る前に体にマダニがついていないかを確認します。特にチェックしていただきたい部位はわきの下、足の付け根、手首、膝の裏、胸の下、頭部(髪の毛の中)です。家の中にマダニを入れないことが二次被害を避けるポイントにもなります。
基本的には家にはいないけど…
マ ダニはイエササラダニ等とは異なり、基本的に家にはいない外にいるダニです。ただ、事例としては、ホームセンターで木材を購入したらそこにマダニがたくさ んついていて大変なことになったという話しもありますので、木材などを購入する場合は、むやみに家の中へ入れず確認してから、マダニを完全駆除してから入 れるようにしましょう。
マダニに噛まれてしまった場合
色々 な病気を持っている可能性があるマダニ。噛まれてしまったらパニック状態になるかもしれませんが、まずは落ち着きましょう。マダニが他の動物から吸血する からといって、必ずしも病気を保有しているというわけではありません。病気を保有していないマダニであれば噛まれてもそこまで害はありません。マダニは血 液を吸うと数十倍まで膨らみますので体中を確認すればわかります。ただ、麻酔薬のような唾液を注入しますので噛まれた瞬間は分からないので、目で確認する しかありません。なんか変だと思ったらすぐに局部を確認しましょう。ここで、注意しなければならないのが、仮に体にマダニがついていたとしても、それを無 理矢理取り除こうとしてはいけないのです。理由としては、無理にいじろうとすると注射器と同じ仕組みで体の中に病原体を送りこまれるかもしれません。です からそのまま付着させた状態で医療機関へ急ぎましょう。現在、SFTSウイルスの有効なワクチンがないのが現状ですがステロイド投与など対症的な治療法し かありませんがそれでも実際に回復するケースも報告されていますので感染したからといってパニック状態にならず冷静になりましょう。他に、日本紅斑熱もワ クチンがなく、ライム病に関しても日本では認可されていない海外のものしかないので全て厄介です。ただ、全てにおいて薬物投与の治療が可能で、重病だから といって助かる道は残されているのです。