あなたは右利きですか?それとも左利きですか?左利きである場合、周囲の人から「左利きなんだ!」と少し驚いた口調で指摘されたことがあるでしょう。たしかに左利きの人はめずらしく、世界の人口の約10%しかいないそうです。なぜ右利きが圧倒的に多いのか、利き手が決まる要因は遺伝や環境など諸説ありますが、未だに解明されていません。
では、もし自分の子供が左利きだったらどうしますか?左利きは「頭が良さそう」「変わり者」などのイメージばかりが先行することも多く、矯正するべきか悩みますよね。左利きに関して、現在明らかになっているメリット・デメリットをご紹介しますので、右利きに直すかどうかの判断材料にしてみてはいかがでしょうか。
左利きのメリット
対戦相手がいるスポーツで活躍できる可能性がある
スポーツにおいては、左利きが少数派であることが大変有利になります。ほとんどの選手が自分自身も練習相手も右利きの環境で練習してきたため、左手を使う相手に慣れていないからです。
実際にプロ野球界においては左利きの選手が多く、トップ打者の半数が左利きであるというデータもあります。イチローや松井秀喜は、もともと右利きですが、左打ちをマスターして好成績を挙げました。
他にもバスケットボールやサッカーなど、対戦相手がいる競技では、左利きのメリットを存分に活かせるでしょう。
左右の脳をバランス良く使いやすい
左利きについては、解明されていないことが多いですが、左利きの脳の構造については3種類あることが分かっています。1つめは、右利きの人と変わらない脳。2つめは、右利きの人と左右が逆になっている脳。そして3つ目は、言語能力や空間能力が左右両方にある脳です。
右利きの人は言語能力が左脳、空間能力が右脳にあり、会話をする時に9割の人が主に左脳を使っています。しかし左利きの人で左脳を使って話す人は約6割程度で、残りの人は左右両方の脳を駆使して言葉を発しているのです。脳の構造の違いによる学力・知力の差については、様々な研究結果があり、どちらが良いとは明言できません。しかし脳卒中などで脳の損傷が起きた場合に、言語障害などの後遺症が軽い可能性はあります。片方の脳にダメージを受けたとしても、もう片方の脳にある言語能力がそれを補い、支えてくれることが多いからです。
左利きのデメリット
文字が書きづらい
左利きの人にとって、もっとも頻繁に感じるデメリットは「文字」でしょう。文字の筆順は、左から右に横線をひくなど、右利きの人が書きやすいように決められているため、左手を使うと書きづらく感じます。
また左から右に文字を書いていくと、左利きの場合は手で文字を隠してしまいます。そのため、手の甲をずらしたような持ち方をして書く癖がつき、文字を書く姿勢や鉛筆の持ち方がおかしくなることがあります。オバマ大統領は左利きですが、サインする時に少し書きづらそうに見えますよね。
左利き専用の道具を揃えなければならない
はさみや包丁、野球のグローブやゴルフクラブなどは、通常右利き用に作られており、左利きの人は同じものをうまく使うことができません。左利き専用の道具は取り扱っていないお店も多く、値段も割高です。人と貸し借りがしづらいのもデメリットの一つかもしれません。
日常生活で不便なことが多い
右利きの人は意識したことがないかもしれませんが、車の運転席・自動改札機・ドアノブ・急須にいたるまで、あらゆるものが右手を使うようにデザインされています。そのため左利きの人は、左手を大きく伸ばしたり、利き手ではない右手を使わなければならず、不便を感じることがしばしばあります。
右利きの人よりもかかりやすい病気がある
左利きの人は、睡眠障害や聴覚障害、アレルギーや花粉症などの免疫系にかかわる病気を患う確率が、右利きよりも多いという統計があります。
矯正した方がいい?
以上のメリット・デメリットをふまえると、右利きの方が断然便利であることは間違いないでしょう。ですが無理に矯正することは、子供にとって大変なストレスになります。ひどい時は、利き手の矯正が夜尿症や吃音の原因になることもあります。左手を使うことを叱るのではなく、「右手も上手に使えたら便利だね」などという前向きな伝え方で、矯正を勧めてみましょう。
聞き手が決まるのは3~4歳と言われていますので、それまでに遊びの中に取り入れるなど、楽しく練習することが効果的です。またつきっきりで監視して全てを右手で行わせる、というのはあまりに大変なので、「お箸と鉛筆だけ」というように、右手を使う場面を限定することも一つの方法です。
それでもなかなか矯正できない、子供が楽しくなさそう、道具を使うことそのものを嫌がるようになってしまった、という場合は、左利きはその子の個性ととらえて、そのままにしてあげても良いのではないでしょうか。