異動や転勤の前に必ず発生する仕事が「引き継ぎ」です。自分がこれまでに実施していた仕事はしっかりと引き継いでおかないと、残された人たちが苦労することになります。また、引き継ぎが曖昧のまま部署を離れてしまうと、異動先にも問い合わせの連絡が頻繁に届くようになってしまいます。引き継ぎを確実に終わらせる目的は、引き継ぐ人に迷惑をかけないだけでなく、新しい仕事に集中できる環境を作ることでもあるのです。ここでは、失敗しない引継のコツについて解説します。
引き継ぐ仕事を把握しているか?
まず第一に、引き継ぐ仕事を把握しているかが重要です。「自分がやっている仕事だから把握しているに決まっている」と安易に考えるのは危険です。やらなければいけないタスクは、そのタイミングで自分が実施しているから把握しているようなものです。一度、自分が実施している仕事を書き出してみることをおすすめします。そして、常に見えるところに置いておき、書き出した仕事以外のことが発生したら追記していくようにするのです。
この方法で仕事を洗い出していくと、最初に書き出した仕事の2倍~3倍くらいのタスクが後から追加されることが多いのです。つまり、頭で考えていた仕事量以上のものを実際にはやっていることになります。引き継ぐ相手に漏れが無いようにするのなら、引き継ぐための仕事を完全に把握するところから始めなければなりません。
引き継ぐためのスケジュールは?
自分の仕事を完全に把握するためには、少なくとも1ヶ月は必要です。1ヶ月で自分の仕事もだいたい一回りするため、漏れを無くすためには1ヶ月が最低の期間と言えるでしょう。言葉で説明をするよりも、実際にやってもらう方が引継もスムーズに進みます。
また、引き継ぎのスケジュールは事前に作成しておく方が良いです。書き出した引き継ぐ仕事の一覧を、引き継ぎ完了のエンドに向けてのマイルストーンを作っていきます。ここまでにこれ、という期限を設けることによって、引き継ぐ側も引き継がれる側も意識をしやすくなるのです。
引き継ぐ時には、お互いに違う仕事をしているものです。自分が持っている仕事+引き継ぐ工数が発生することを理解しておかなければなりません。自分の仕事を止めるわけにはいかないので、優先順位の付け方を間違うことなく、スムーズに引き継ぎを完了させるためには、スケジュールを立てておくことが大切なのです。
引き継ぐために必要な資料
これまでに、自分が実施している仕事の一覧とスケジュールが必要であることをご説明してきました。もう1つ重要な資料があります。それが「マニュアル」です。どの仕事現場においてもそうですが、マニュアルが完全に整備されていることは少ないです。大体、引き継ぐ時にマニュアルを見直し、作り直すことが多くなります。
ただし、マニュアルを作り直すのにもかなりの時間がかかるものです。普段の仕事に慣れているあなたは、マニュアルを再度見直す機会は少ないはずです。その状況で久しぶりにマニュアルを探してみたら見つからなかったり、見つかっても古い運用方法になっていたりします。マニュアルを直すのも大変なのに、一から作る時間などあるはずもありません。
スムーズに引き継ぐコツは、「マニュアルが本当にいるのか?」というところから疑ってみてください。つまり、引き継ぐ時にしか利用しないマニュアルは、今後も運用に活かすことはできません。マニュアルの多くは、作るのに利用した時間だけの効果を出すことができない資料になるのです。仕事内容にも寄りますが、マニュアルは「できるだけ簡素に」作ることが大切です。全体の簡単な業務フローですね。多少の運用が変更になっても修正する箇所が少ないように簡単なものを1つ用意しておきます。そして、その概要図に手書きでもいいので、コメントを残していくようにします。相手に説明をしながらコメントを残していくようにすれば、引き継ぎの時間以上の時間を作り出す必要がなくなります。
引き継がれた側についても、概要図を見ながら説明を受けるので、理解のスピードが早くなります。その場でコメントを残すことで、身に付きやすくなる効果があるのです。この方法であれば、引き継ぎのために多少の時間は犠牲にしなければなりませんが、必要最低限の作業量増加で抑えることができるようになります。
コミュニケーションが取れる環境を用意する
いくらしっかりとした引き継ぎをしていたとしても、イレギュラーな対応は発生するものです。そんな時には、あなたのところに質問が来ることもあるでしょう。引き継がれた相手が今更聞けない、という環境が一番よくありません。引き継ぐ際には、「異動してからでも、分からないことがあれば何でも聞いてください!」と相手に伝える気持ちが大切です。コミュニケーションが取れる環境の構築が、引き継ぎを成功させる最大のコツなのです。
まとめ
仕事をする上で、引き継ぎは必ず発生するものです。引き継いだ後の事だからといって他人事にしてはいけません。会社全体でパフォーマンスを向上できるように意識をするようにしていきましょう。そして、会社全体として成長していくようにしていきましょう。