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北原白秋の作品の特徴及び評価。おすすめ代表作3選

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詩人・童謡作家・歌人として多くの作品を残した北原白秋。国語の授業などで一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。北原白秋は若くして詩人としての才能を認められ、三木露風とともに「白露時代」を築いた人物です。また童謡「雨降り」や「この道」の作詞者としても知られ、「雨降り」は日本の歌百選にも選ばれています。そんな日本人の心の琴線に触れる、素晴らしい作品を残した北原白秋の作品には、どのようなものがあるのでしょうか。今回は白秋の作品の特徴とおすすめ作品を紹介します。

北原白秋の作品の特徴と評価について

北原白秋を一言で表すと「天才」でした。そしてその才能は、若くして発揮されていたようです。

若くして文壇のスターとなる

学生時代から詩作にのめり込んだ白秋は、若山牧水や中村蘇水と並び「早稲田の三水」と称されました(この時期の号は射水でした)。1905年に「早稲田学報」に応募した「全都覚醒賦」が一等に入選したことで、白秋は人気詩人として脚光を浴びます。その後「パンの会」に入会すると、白秋はロマン主義的傾向を強め、耽美主義に傾倒するようになります。1911年に発表した詩集「思ひ出」は、まさに白秋のロマン主義的・耽美主義的特徴が存分に発揮された詩集であり、白秋の幼少期の思い出が色彩豊かに描かれています。

また歌人としても優れた作品を残した白秋は、ロマン主義の復興を掲げ、斎藤茂吉などのアララギ派と勢力を二分するまでになりました。

童謡作家としても活躍

作家・鈴木三重吉の誘いで童謡作家としても活動した北原白秋は、「雨降り」や「待ちぼうけ」、「この道」など多くの名作を残しました。日本各地のわらべ歌の収集に尽力した白秋の作風は、その後の口語的・歌謡的な詩風に大きな影響を与えたと言われています。また「揺籠(ゆりかご)のうた」なども日本人の心の歌として愛される、白秋の代表作です。

この道(唱歌)

ゆりかごのうた

校歌や社歌も多数作詞

北原白秋は、大学や高校の校歌や社歌なども多数手がけています。例えば関西学院大学や芝浦工業大学、同志社大学、武蔵野美術大学などの校歌は白秋によるものです(作曲はいずれも山田耕作)。また日本電気(NEC)の社歌も白秋が担当しており、当時の白秋の人気がうかがえます。

北原白秋のおすすめ代表作3選

北原白秋の作品を紹介します。今回は白秋のロマンチックな作品が味わえる代表作を集めました。

思ひ出


1911年に東雲堂書店から刊行された抒情小曲集です。1906年から19011年にかけて書かれた215の作品が収められています。白秋が幼少時代を過ごした故郷・柳河での体験を基にした、抒情豊かな作風が特徴的です。作家・上田敏に絶賛されたことで白秋の名が一躍世に知られ、出世作となりました。雑誌「文章世界」の読者ランキング・詩人部門において、与謝野晶子や島崎藤村を押さえ、1位に輝いた作品としても知られています。この時、白秋は26歳という若さでした。

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桐(きり)の花

1913年に出版された白秋の第一歌集です。449首の短歌と6つのエッセーが収められています。1906年から1913年までに詠まれた歌が収録され、白秋の官能的センスとロマン主義の融合が当時の歌壇に大きなブームを巻き起こしました。また、短歌の世界に象徴主義的手法を取り入れたことでも知られ、のちにアララギ派と並び歌壇界を二分する新しい勢力を生み出すきっかけとなりました。

本歌集の「哀傷篇」には、姦通罪の罪に問われ投獄された白秋が獄中で書いた作品も含まれています。人気詩人が逮捕されるというスキャンダルの翌年に本作が発表されたため、白秋の逮捕劇は「桐の花事件」として語られることになりました。

・草わかば色鉛筆の赤き粉のちるがいとしく寝(ね)て削るなり
という作品が特に有名ですので、ご存知の方も多いかと思います。この短歌は当時恋仲だった松下俊子を想い歌われた作品です。

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邪宗門(じゃしゅうもん)

1909年に発表された白秋の第一詩集です。本作の例文には「予が象徴詩は情緒の諧楽(かいらく)と感覚の印象とを主とす」と記されており、日本における象徴主義的作品の先駆けとして重要な地位を占めています。フランスの作家ボードレールやヴェルレーヌなどの象徴派に刺激を受け書かれた作品集で、いずれも異国的・官能的な作品で構成されているのが特徴です。それぞれの章には「魔睡・朱の伴奏・外光と印象・天草雅歌(がか)・青き花・古酒」などの象徴主義を意識したタイトルが付けられています。

これにより白秋は「邪宗門新派体」という独自の象徴的手法を生み出しました。晩年の優しい作風とはかけ離れた、若き白秋の才能を堪能できる作品集です。

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まとめ

今回は北原白秋の作品の特徴やおすすめ作品を解説しました。白秋の抒情的で象徴的な作品は、読む人の想像力に強く語りかけ、目の前で作品の世界が広がるようです。これはフランス象徴主義の影響かもしれません。また北原白秋と山田耕作というゴールデンコンビによって生まれた童謡は、まさに日本の心の歌として、現在でも多くの人に愛されています。今回紹介した作品以外にも、白秋は多くの作品を残していますので、青空文庫などでその作品に触れてみてはいかがでしょうか。

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