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アレクサンドル・デュマ・ペールは19世紀の劇作家、そして作家です。そのドラマチックなストーリーと奇想天外な多くの作品でヒットを飛ばし、有名でした。今回は、「小説工場」「人間喜劇」の異名をとるデュマ・ペールのおすすめ代表作についてご紹介します。同時に、デュマの息子である小デュマについてもご紹介しましょう。
アレクサンドル・デュマ・ペールの作品の特徴及び評価
アレクサンドル・デュマ・ペールはロマン主義の作家です。題材には歴史小説のものをとるのがメジャーですが、彼の趣味らしい戯曲や料理についての話も度々見受けられます。連載小説家であったこともあり、短い章立てで続きの気になる表現が読みやすく、読書の敵になりやすい「なんか退屈かも…」といった気持ちになりにくいです。
彼の作品はパリの都市生活やマルセイユのはずれにある街の風景でも、想像のしやすい平易な文章で鮮明に描く力があり、主人公を中心にした群像劇で進行していきます。ここでは、デュマの息子であるデュマ・フィス(小デュマ)の代表作、『椿姫』についてもご紹介します。
アレクサンドル・デュマ・ペールおすすめ代表作3選
ここではデュマの代表作3選とその息子小デュマの『椿姫』をご紹介します。登場人物も俗っぽいところがあり、ロマン主義的大衆文学として人気になったデュマらしいキャッチーな作品が多いことも特徴といえるでしょう。息子小デュマもその父とは違った作風に根強い人気を持つ人の多い、素晴らしい作家です。
巌窟王
デュマの名声を一気に押し上げた代表作の片割れ、ロマン主義の傑作です。『巌窟王』というタイトルは明治期に日本語に訳された際、イメージしやすいようつけられたタイトルです。本来は主人公のもう一つの名前、パリの政治界にさっそうと現れた『モンテ・クリスト伯』 がそのままタイトルに採用されています。巌窟とは岩窟、つまりはほら穴のことで、主人公が幽閉された光のない牢獄、シャトー・ディフのことをさしているようです。
いわゆる復讐譚で、婚約者を持つ主人公が無実の罪を着せられ、孤島シャトー・ディフに幽閉されたのち復讐を胸に脱獄するというエピソードです。スカッとする話ばかりではなく、これでよかったのかと悩む姿が登場人物たちの魅力になっているようにも思えます。どんなときにも希望を失わず、光を最後につかむことができるのか。主人公エドモンは言います。
「待て、しかして希望せよ!」(『モンテ・クリスト伯』より引用)
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お調子者のデュマはこの作品で大成功を収めた後、なんとこのタイトルと同じ城を建設し、多くの女性を誘って悦楽にふけっていたことも有名でした。
三銃士
「一人はみんなのために、みんなは一人のために」で知られる言葉はこの作品で初めて誕生しました。アニメ化や映画化され、いまだに人気のある不朽の名作です。実はこの作品、3部作になっていたのはご存じでしょうか?第一部である本作『三銃士』が連載小説で人気を博し、後日譚という形で語られる『二十年後』と『ブラジュロンヌ子爵』が書かれました。第一部にもモデルがあり、サンドラスの『ダルタニアン氏の回想録』から着想を得たものでした。
歴史ものらしい、自分が知らないだけで、「こんなことがあったらいいな」と思わせてくれるドラマの連続に魅力が詰まっています。ルイ13世が治める17世紀前半頃、主人公ダルタニアンは銃士を志しパリへ向かいます。銃士はマスケット銃を手に活躍した歩兵のことをさしますが、ここで重要なのは銃士隊が平民でありながらも、王に目を止められる唯一の名誉ある職業であったことです。
ダルタニアンの高潔で陽気な人柄は、読んでいて爽快な喜劇を思わせるもので、まるで少年誌のヒーローのようなひたむきさがあります。道中繰り広げられる彼と三銃士のエピソードが喜劇らしい軽妙さで描かれています。
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王妃の首飾り
悲運の王女、マリー・アントワネット。彼女の生きた生涯は一般に豪奢の限りを尽くした悪女のようにとらわれることが多いですが、デュマの手によって創作とはいえ、大きく見方が変えられてしまうでしょう。登場するキャラクターも個性豊かでまさしく群像劇が展開されるようです。
物語の中心に据えられるのはやはりマリー・アントワネットですが、その夫ルイ16世との最期があることを知っていると、この本の味わい深さを強めるスパイスになってゆきます。生きたキャラのように会話することが多い作品でもあるため、感情移入しやすくテンポよく読み切れてしまう点も、一息つきたいときにおすすめの一冊であるといえます。
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小デュマと『椿姫』
デュマ・ペールも先に挙げた多くの名作を書いた作家でしたが、小デュマも素晴らしい名作を書きました。『椿姫』は現在もオペラや劇として上演されることもある名作の一つです。この作品は1848年ごろに小デュマの交際していたマリー・デュプレシとの実体験をもとに書かれた写実的な小説であることも有名です。
娼婦マルグリットと主人公アルマンをめぐって描かれる悲恋のストーリーですが、小デュマらしい父との確執や、しっとりした話の運びがこちらの感情を揺り動かしてきます。マルグリットとの行く末や父親との確執は、小デュマの葛藤として見られ、本作に大きな影響があったことを感じさせます。この小説が発表されて2年後に早くも舞台化されているので、どれほどこの作品が当時の人々に評価されたか伝わると思います。
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まとめ
今回は父と息子、二人のデュマを紹介していきました。二人の作品は決して同じではなく、喜劇と悲劇のような二人ならではの人生がよく表れた小説観を感じ取れます。デュマ・ペールの本は連載らしく読みやすいものが多いので、一冊手に取ってみてはいかがでしょうか?今回の作品はkindleでも読めるので、長編を読んでみたい場合はこちらがおススメです。