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二葉亭四迷の作品の特徴及び評価。おすすめ代表作7選

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二葉亭四迷は、明治時代に活躍した、言文一致体の先駆者と言われている人物ですが、名前が有名なわりに作品の数はそれほど多くはありません。今回は、二葉亭四迷の作品の特徴や評価、おすすめ代表作をご紹介します。

二葉亭四迷の作品の特徴及び評価

二葉亭四迷は言文一致体の先駆者でもあり、日本の文壇に与えた影響は大きいものでした。
処女作である『浮雲』は、坪内逍遙の『小説神髄』を読んで満足しなかった二葉亭四迷が『当世書生気質』に色濃く残っていた戯作文学の影響を排して書いたものと言われており、写実主義の描写と言文一致の文体で当時の文壇に大きな影響を与えました。日本の近代小説の始まりを告げた作品ともいわれています。

ロシアとの関係を憂慮した二葉亭四迷はロシア語を学ぶうちにロシア文学に心酔していきます。二葉亭四迷がロシア語を学んだ時代は、ちょうどロシア文学の最盛期で、トルストイやドストエフスキーなどの文豪が活躍していました。ゆえに二葉亭四迷の作品にはロシア文学の影響が反映されています。

このように優れた人物でありながらも、二葉亭四迷自身の自己評価は懐疑的、卑下的な傾向があり、それらを伺い知ることのできる作品もあるのがまた興味深い点です。

二葉亭四迷おすすめ代表作7選

ここでは二葉亭四迷のおすすめ作品をご紹介します。それぞれの作品に違った個性がありますので、二葉亭四迷のさまざまな顔を見てみてください。

小説総論

坪内逍遙の『小説神髄』に影響を受けて書いた作品で、批判的に写実主義の理論を深く掘り下げています。「形(フォーム)」と「意(アイデア)」の用語を駆使して、小説におけるリアリズムの解説をしており、「意は己の為に存し形は意の為に存する」とあります。
青空文庫で読めますが、やや難解なので現代人は読み解くのに苦労するかもしれません。

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浮雲

言文一致の文体を採用した日本近代小説の先駆けとよばれる小説です。主人公は内海文三という役所をクビになった男で、プライドが高く、世渡り下手のために復職もできないという有様でした。文三に好意をもっていたはずのお勢も、別の男へと心変わりしてしまいます。社会からも心を寄せた女性からも同居する家族からも疎外されてしまうものの、文三は次第にお勢が笑いかけてくれるだけでうれしく、勝手な想像を巡らせるのでした。人の心は浮雲のようにつかめないものであり、不思議と主人公への共感やいつの時代も変わらないことなどが感じ取れる作品でもあります。この作品は末尾に「終」とあるものの、二葉亭四迷の構想メモが発見されたため未完という説もあります。

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其面影


「其面影」は東京朝日新聞に連載していた小説です。主人公の哲也は、妻・時子の家に養子として入っており、時子と義母に冷淡に扱われていました。時子には腹違いの妹・小夜子がいて、ふたりは微妙な関係でした。あるとき小夜子が出戻りしてくると、哲也は小夜子の優しさに惹かれ、次第に2人の仲は深まっていきます。三角関係の末、哲也は中国に渡ってしまい…。日露戦争後の世の中を表す一面もあると言われる作品で、1962年にドラマ化もされました。

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平凡

主人公の姿に二葉亭四迷本人の姿が重なってみえる自伝風の小説です。内容は、下級官吏として働いていた「私」が、昔少しだけ小説家として活躍したといい、平凡な人生を自伝のように書き連ねていきます。平凡な人生というものの、後悔だらけの人生のように描かれており、主人公の性格にも、ある意味リアリティが感じられます。

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あひゞき(ツルゲーネフ著・二葉亭四迷翻訳)

ロシア人作家ツルネーゲフの『猟人日記』のなかの1編である「あひゞき」を、二葉亭四迷が翻訳したものです。言文一致の名訳としても知られています。1人の男がとあるあいびきを目撃し、その様子をこの男の視点で描写しています。農夫の娘らしき少女と、金持ちの召使いが出会い、召使いが主人の命でこの地を離れることになったため、別れを告げに来た場面であり、悲嘆にくれる少女と冷淡な召使いの男が描かれています。言文一致体で写実的に書かれた、描写の繊細さが特徴の作品です。

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私は懐疑派だ

「私は筆を執っても一向気乗りが為ぬ。どうもくだらなくてしかたがない。」からはじまる評論です。懐疑派という通り、自己批判的でニヒリスティックでユーモアも感じられ、二葉亭四迷という人物がにじみでてくる印象を受けます。青空文庫で読めますので、気軽に読んでみてください。

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予が半生の懺悔

ペンネーム「二葉亭四迷」の誕生秘話が分かる作品で、自身の作品の批評も書かれています。ロシア語を学ぼうとした理由や朝日新聞社に戻って「其面影」や「平凡」を書いた理由、そしてこれからの野心で締めくくられています。こちらも二葉亭四迷の心の葛藤が伝わる内容となっており、青空文庫でも読むことができます。

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まとめ

ロシアへの造詣も深く、言文一致の先駆者として有名な二葉亭四迷ですが、さまざまな葛藤を抱えた45年の人生だったように思われます。小説から翻訳作品、自伝のようなものまでありますので、気になるものから読んでみてはいかがでしょうか?

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