野球において投手は要のポジションであり、投手がいなければ試合は成り立ちません。
投手の練習メニューとして重要になるのは投げ込み、走り込みが中心になります。
肩回りの筋肉の強化や心肺機能の強化がパフォーマンスのアップにつながりますが。
しかし、それ以外にも投手に重要な要素として、握力があります。
今回はこの握力に焦点を当て、トレーニングを行うメリットについて解説します。
握力の重要性
まず、投手における握力の重要性について解説していきます。
握力は文字通り握る力ですが、投手はボールを握り、それをリリースして投球を行います。
しっかりボールが握れていないと、球に力をこめることが出来ず、思うようにボールをコントロールすることが出来ません。
また、握力は指の力でもありますので、ボールをリリースする際のパワーを発揮するためには重要な力です。
投手にとって重要な筋力は背筋力や胸筋の力、また、体幹を安定させるための腹筋、そして下半身の筋力と全身の筋力が必要になりますが、手指の力も無視することのできない重要なパワーといえます。
握力があるメリット、ないデメリット
握力の重要性の部分でも解説しましたが、握力が強いほどボールに力を伝えることができます。
投手はストリートの球速はもちろん、変化球も駆使しながら打者を打ち取っていきますが、その際に大事なのがスナップです。
よく「指先にかかる」という言葉がありますが、握力(指の力)があることによりボールに回転力を伝えることができます。
また、現代の野球は分業制で、先発中継ぎ抑えとプロアマ問わず細かく分かれてはいるものの、やはりイニングを投げるごとに握力が落ちていきます。
日ごろから握力を鍛えておくことで、長いイニングを投げても抜け球が少なくなり、狙ったところにコントロールできるようになります。
逆に握力がないことにより、ボールの球速が落ちてしまい、打者にとって打ちやすいいわゆる棒球になってしまいます。
ストレートのスピードが落ちることはもちろん、変化球が曲がらない、落ちないという原因にもなり、それだけ打者を打ち取ることが難しくなります。
イニングを増すにつれてコントロール・球速が落ちてくればコーチ監督からの信頼もなくしますし、戦力として見てもらえなくなってしまいます。
地味な部分ではありますが、忘れずに鍛えておくことが大事といえます。
握力強化法
次に、握力の強化方法について解説していきます。
まずは、道具を使った強化方法について。
握力を鍛えるための道具としてハンドグリップが販売されていますので、こうしたものを日ごろから握って鍛えておくことが大事になりますが、あまり握力に自信がない人の場合はすぐに疲れてしまうと思います。
そこで、このように握力の無い方の場合には、軟式テニスのボールを握ることをおすすめします。
軟式テニスボールであれば簡単に握ることができますし、それでいてしっかりと握力を付けることが可能になります。
特に指はデリケートな部分ですので、固いハンドグリップを使って関節を傷めてしまわないように、最初はテニスボールで始めると良いと思います。
次に紹介するトレーニング方法は、ウェイトトレーニング時に行える種目です。
リストカールという手首を鍛えるトレーニングで、握力も同時に鍛えることができます。
やり方としては、ベンチに手をのせ、手首を浮かせた状態でバーベルもしくはダンベルを持ち、手首を返していきます。
ポイントとしては、あまり強くバーベル・ダンベルを握らずに、指で持って握りこむようにするとうまく手首を返せます。
通常のリストカールは手のひらを上にして行いますが、手の甲を上にして行うリバースリストカールという方法もありますので、両方バランスよく行うといいでしょう。
握力回復法
投手は投げ込みや上記の握力トレーニングにより手指に疲労を感じやすくなります。
毎日毎日握力を鍛えてしまうと、回復が間に合わずにパフォーマンスを低下させてしまう恐れもありますので、休息、回復をさせる必要があります。
アイシングをしたりお風呂で温めたりするのもいいですが、その他にもストレッチやマッサージでも回復させることができます。
効果的なマッサージ方法としては、両手の指の付け根同士が合わさるようにして手を組み、手首をぐるぐると回しながらほぐしていくという方法があります。
その他には、指を可能なところまで反らせるという方法も効果的です。
痛みを感じない程度にゆっくりと動かすことを意識しましょう。
まとめ
以上、投手の握力の関係について解説し、また握力の強化、回復方法についても紹介してきました。
投手の練習メニューの中心は投げ込み、走り込みであることは言うまでもありません。
しかし、日ごろから握力を鍛えておくことも非常に重要な要素になってきます。
よく、怪我のリハビリとして握力強化を行う選手もいますが、怪我をした時だけでなく、普段から握力を強化する習慣を身に付けておくと、気づかないところで力になってくれるはずです。