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田山花袋ってどんな人?その生涯・妻・子孫は?性格を物語る逸話や死因は?

出典:[amazon]田山花袋 名作全集: 日本文学作品全集(電子版) (田山花袋文学研究会)

田山花袋は明治から昭和に活躍した、日本の自然主義文学の代表的な作家です。とくに代表作である『蒲団』は当時の社会に大きな影響を与えました。今回は、田山花袋の生涯や家族、エピソードなどをご紹介します。

田山花袋の生涯


ここでは、田山花袋の生涯についてご紹介します。

誕生から作家活動初期

田山花袋は本名録弥といい、1872年に栃木県邑楽郡にて代々秋元藩士をつとめた田山鋿十郎・てつの間に生まれました。幼い時に父が戦死したため、1880年9歳の時から足利や東京の有隣堂書店にて丁稚奉公に出されます。帰郷し12歳の時から漢学塾で学び、14歳には漢詩集を編むほどの実力で、桂園派の和歌や西洋文学にも親しむほどでした。

1890年になると兄に従い上京し、柳田国男と知り合ったり、尾崎紅葉のもとへ入門し、江見水蔭の指導を受けたりします。『瓜畑』を初めて発表し、その翌年から田山花袋と名乗るようになりました。1896年には国木田独歩や島崎藤村と出会い『抒情詩』を刊行します。フランスの自然主義作家であるモーパッサンの影響を強く受け『重右衛門の最後』を発表し、高い評価を得ます。1899年には結婚し、博文館という出版社に勤めました。

自然主義文学者として活躍

日露戦争の歳には従軍記者をつとめ、その際に軍医であった森鴎外にも会っています。日露戦争後からは自然主義文学の分野を自覚し、評論『露骨なる描写』や小説『少女病』を発表し、博文館から『文章世界』が創刊された際には、編集主任に抜擢されました。

1907年には田山花袋の代表作『蒲団』を『新小説』にて発表し、文壇や読者に衝撃を与えたといわれています。
さらに『生』『妻』『縁』の3部作や『田舎教師』を書き、島崎藤村と並ぶ自然主義作家となりました。

大正時代以降~晩年

大正に入ってからは自然主義文学の衰退と新鋭作家の登場で、文壇の主流からは外れていったものの『一兵卒の銃殺』など優れた作品を発表します。また紀行文も多く手がけ『南船北馬』『山行水行』や、日本全国の温泉に関する本、博文館『日本名勝地誌』の執筆もしました。
晩年は精神主義的な作品を多く残しましたが、1928年に脳溢血のため入院し、回復したものの咽頭癌を発症。1930年5月に自宅で58歳で死去しました。亡くなる2日前に田山花袋のもとをおとずれた島崎藤村が死を目前にした心境を訪ねたそうです。田山花袋は多磨霊園に埋葬され、本人の希望により土葬されました。墓には島崎藤村の書が刻まれています。

田山花袋の家族、性格を物語るエピソード

ここでは、田山花袋の家族やエピソードをお伝えします。

田山花袋の家族

妻りさは『抒情詩』をともに出版した詩人仲間太田玉茗の妹で、夫婦の間には4人の子どもが生まれました。さらに『蒲団』のモデルとなった岡田美知代と永代静雄の子どもを養子として引き取って育てていたそうです。
また田山夫妻は、1923年の夏に共に青森県の浅虫温泉や弘前、大鰐温泉を訪れたそうです。

『蒲団』のモデルになった人物

『蒲団』のモデルとなった人物は、田山花袋自身と、岡田美知代そして永代静雄と言われています。内容が内容であるだけに、スキャンダルとして世間の話題になりました。2人の仲はいったん引き裂かれたものの、のちに結婚し、2人の子どもが田山家の養子になるなど複雑な関係も続きます。その後2人は離婚し、美知代は渡米します。美知代は太平洋戦争の際に帰国したのちも、作家として多くの作品を残しました。

性格を物語るエピソード

50秒の映像フィルムに田山花袋の姿がうつる

福島県郡山市のこおりやま文学の森資料館が所蔵する35ミリフィルムから田山花袋の映像が発見されたそうです。フィルムは作家の久米正雄が多摩川湖畔で撮影したもので、大正13年に雑誌『随筆』が文人を募集して企画した内容で、田山は山高帽子を掲げて会釈していました。

『田舎教師』の舞台、埼玉県羽生市

『田舎教師』の舞台となったのが、埼玉県羽生市です。主人公のモデルとなった小林秀三は建福寺に下宿しており、住職が田山花袋の義理の兄でした。田山花袋は境内にある秀三の墓を目にした際に、残された日記があることを知り、丹念な取材をしたうえで『田舎教師』を書き上げたそうです。

羽生市には、この建福寺のほか、弥勒高等小学校跡や「小川屋のお種さん」という人物のモデルとなった料理屋についての資料館もあります。また昭和13年に新感覚派と呼ばれる川端康成と片岡鉄兵、横光利一の3人が「田舎教師巡礼の旅」を行ったそうで、その際に書いた連句が刻まれた碑も存在します。

まとめ

いかがでしたか?田山花袋は、日本の自然主義文学の方向性を決めた存在として、文壇や社会に影響を与えました。自然主義的な描写は、当時の社会の様子や心模様などがよく分かる興味深さもありますので、ぜひ手に取ってみてください。

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