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田山花袋の作品の特徴及び評価。おすすめ代表作7選

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田山花袋という作家をご存知ですか?田山花袋といえば『蒲団』が有名で、日本の自然主義文学を方向付けた作家ともいわれています。今回は田山花袋の作品の評価やおすすめ代表作をご紹介します。

田山花袋の作品の特徴及び評価

田山花袋の作品は自然主義文学と呼ばれ、物事の自然な状態を観察してありのままに書こうとするスタイルのことです。その自然主義文学の今後の方向性を決定づけた作品、また「私小説」のさきがけといわれるのが田山花袋の『蒲団』です。

自然主義文学は、日本では坪内逍遙が写実主義として広めていたものの、二葉亭四迷が指摘したように、まだ確立した内容ではありませんでした。島崎藤村も『蒲団』が発表される前年に『破戒』を出して高く評価されていましたが、この『蒲団』は当時の社会や文壇にとってかなり衝撃的なものでした。その後も「一兵卒」「生」「田舎教師」など客観的な写実を主張する作品を多く生み出し、平面描写の理論を明らかにしました。

田山の作品は官能的なものもあれば、従軍記者としての経験を生かした戦争ものや、関東大震災の記録、自伝的なものもあります。また紀行文も得意としており、評価も高かったそうです。

田山花袋のおすすめ代表作7選

蒲団

田山花袋の代表作といえば『蒲団』です。ある文豪のところに、熱心で才能のある若い女・芳子が弟子入りしたため、文豪が恋をしてしまうという内容です。文豪は妻子のある身でしたのでどうすることもできず悶々とします。やがて彼女に彼氏ができてしまい、2人の仲を引き裂こうと文豪は父親に連絡し、彼女は田舎に帰ることになります。文豪は彼女が去って行ったあとに、彼女の残していった蒲団と衣服の匂いを嗅いで泣くという有名なシーンがラストにあります。
中年男の悲しい性が生々しく伝わる作品で、実在の人物をモデルに書かれていたというのも驚きです。

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田舎教師

こちらは『蒲団』とは打って変わって、平坦な日常をありのままに描いていながら、主人公の葛藤が伝わる作品です。主人公は文士を志しながらも、生活のために小学校の教師として働き始めた青年。しかし先輩や同志がかつての志を忘れ、遊びに興じていくさまやその環境に染まりつつある自分の夢と現実との乖離に焦り、もがきます。次第に生活はすさみ、借金を抱えるまでになります。せっかく這い上がってきたところで不治の病にかかってしまうという内容です。

情景描写がとても細やかで、臨場感あふれる会話から、夢を諦めていく青年の心情や田舎の風景が伝わってきます。『田舎教師』にもモデルとされた人物がいて、埼玉県羽生市に彼の墓やゆかりの場所があります。

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一兵卒

日露戦争の従軍記者として同行した田山花袋の体験を小説に昇華させた作品です。脚気に悩まされながら戦場で命を落とす一兵卒の姿が描かれており、彼にも住所と名前、そして家族がある一人の人間なんだという悲劇に心が抉られます。一人の兵士にスポットをあてるミクロな視点で描かれ、戦地での苦しみがリアルに伝わる作品です。

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少女病

主人公はかつて少女小説の書き手として人気を博していた杉田古城。彼は雑誌の編集でなんとか生活をしていましたが、現在は悶々としています。彼の唯一の楽しみが、通勤電車で美しい女学生を見て妄想に耽り、そして自分の人生を嘆くというものでした。その楽しみがゆえに衝撃の結末をむかえてしまいます。

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東京の三十年

田山花袋の自伝であり、文壇回想記としても価値の高い作品です。島崎藤村、国木田独歩、柳田国男などとの交友、明治から大正への時代の激動、自然主義文学の盛衰など、11歳で上京してからほぼ30年間の東京の変遷が生き生きと描かれています。紀行文を得意とする田山花袋ならではの描写で書かれており、作品が出された背景など知られざる文壇の様子がみられ興味深い作品です。

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東京震災記

1923年9月1日に起こった関東大震災の地震直後の東京の街を歩き回り、被災の実態を事細かに刻んだルポルタージュです。生々しい表現や会話などもありますが、当時の様子を知る貴重な記録でもあります。

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日本一周

1914年~1916年に刊行された田山花袋の紀行文で、日本全国を汽車で巡り、各地の景観や史跡などを写実的に描いています。前編(近畿・東海)、中編(中国・九州・四国)、後編(関東・東北・北海道)の3編からなっており、写真も掲載されています。文学的な感覚が盛り込まれた内容で、大正時代の交通事情や日本各地の風景などがよくわかる貴重な作品です。

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まとめ

田山花袋の作品はテーマによっては好みが分かれますが、自然主義文学を味わうには欠かせない作家でしょう。官能的なものから戦争、紀行文など気になるものから読んでみて、ぜひ明治~大正の世の中の様子などを味わってみてはいかがでしょうか。

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