出典:[amazon]夫婦のルール
三浦朱門は大正時代に生まれ平成29年に91歳で没するまで、数々の作品を世に出した作家です。妻の曾野綾子との仲の良さも有名で、作家活動をしながら大学教授や文化庁長官、教育審議会の会長を務めるなど活動しました。
この記事では、三浦朱門の作品の特徴や評価、おすすめ代表作をご紹介します。
三浦朱門の作品の特徴と評価
三浦朱門は「第三の新人」世代の作家で、小説・随筆・評論などを執筆しました。『冥府山水図』でデビューし”芥川の再来”とも呼ばれ「斧と馬丁」で芥川賞候補となりここから作家活動に入りました。『箱庭』で新潮社文学賞を受賞し『武蔵野インディアン』は芸術選奨文部科学大臣賞を受賞するなどの受賞歴があります。
家族論や日本社会、教育についてのテーマが多く、21世紀に入ると老いに関することや妻・曾野綾子との対談や共著が多くなります。全体的に独特のユーモアのあるやや格調高い文章が特徴です。妻との対話は夫婦の仲睦まじさや互いの自立した関係が見られ、同じく”第三の新人”と呼ばれる遠藤周作もよく作品に登場したり、共著の作品も出したりと親交の深さがうかがえます。
外国語作品の翻訳も手がけ、R・Aハイラインやサローヤン、バーナード・エブスリンの小説など多くの翻訳をしました。『大四次元の小説』や『我が名はアラム』などが代表作です。またカトリック教徒でもあるので、同じくカトリック教徒である遠藤周作と1970年に共著『キリシタン時代の知識人 背教と殉教』を出版しています。
三浦朱門のおすすめ代表作8選
冥府山水図・箱庭
「冥府山水図」は”芥川の再来”とまで評された出世作となった短編です。己の絵の完成に生涯を賭した老画家が主人公で、老画家の執念と到達点のない芸術の魔性を巧みに描いた作品です。
「箱庭」は、広い敷地に3世帯、3世代の家族が暮らす「箱庭」式のある種の閉鎖空間が舞台で、明治生まれの父と大正・昭和生まれの息子たちが登場します。移り変わっていく家族のありようや家族間の格差、親の死、相続などの関係や長男が次男の妻を抱いてしまうという事件が描かれています。1967年に新潮社文学賞を受賞しました。
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武蔵野インディアン
独特なタイトルが興味を引くこちらの本。”武蔵野インディアン”という言葉は、江戸時代以前からの多摩の土着民を指し、対して明治維新の後に都になった東京にやってきた人々を”東京白人”と呼んでいます。主人公である久男は”東京白人”であり、”武蔵野インディアン”である砂川昌平などの人物との関わりを通して、武蔵野と近代日本の変貌を静かに描いている作品です。
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夫婦口論
こちらの本は三浦朱門と妻・曾野綾子の共著で、国内外の諸問題を対話している本です。日本の教育や国際人としての在り方、宗教、夫婦についてなど、それぞれ明確な軸を持って語っています。人によって響くポイントは違うかもしれませんが、背筋がシャキッとなるような本です。
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老年の品格
老年になると直面する苦境の打開策を提示している作品です。笑いとユーモアが大事だと説いています。やや理屈っぽいという評価もありますが高尚さがあるということでしょう。老年期を迷惑をかけずに心豊かに過ごしたくなる作品です。
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うつを文学的に解きほぐすー鬱は知性の影
妻・曾野綾子のうつ、そして北杜夫や遠藤周作などさまざまな作家を見つめ、独特のユーモアを織り交ぜて文学的に解きほぐした作品です。
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家族はわかり合えないから面白い
こちらは、三浦朱門と息子太郎の妻であるエッセイスト三浦暁子との共著で、舅と嫁という一見微妙な関係のふたりが家族について対話する内容です。家族の在り方のひとつの例として面白く読める一冊です。
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天皇の昭和
明治天皇の誕生からはじまり、おもに昭和天皇を軸として、二・二六事件や第二次世界大戦など激動の昭和時代の社会や軍部、民衆の様子、世界の動向などを絡めながら詳しく書かれています。実際に大正、昭和、平成を生き抜いた著者ならではの臨場感あふれる長篇作品です。こちらは現在絶版になっていますが、Kindle版で読むことができます。
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まとめ
いかがでしたか?今回は三浦朱門の作品の特徴やおすすめ代表作をご紹介しました。
出版年数の古い作品はあまり流通していないものもありますが、日本社会や夫婦、家族関係、小説、老いについてなど興味のあるトピックから読んでみるのもいいでしょうし、妻・曾野綾子の著作と読み比べてもおもしろいでしょう。気になる作品からぜひチェックしてみてください。
>>三浦朱門ってどんな人?その生涯や妻・息子・孫・本名は?性格を物語るエピソードや死因は?
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