与謝野晶子の作品の特徴及び評価。おすすめ代表作5選

出典:[amazon]『与謝野晶子全集・138作品⇒1冊』【源氏物語・現代訳つき】

与謝野晶子は、明治から昭和の時代にかけて活躍した歌人・文学者です。ロマン主義的な作風の短歌で文壇に登場し、自らの情熱的なおもいを率直に表現し、あたらしい女性像をしめしました。また、女性の自立や解放を呼びかける運動も行い、思想家としての面も注目されています。女性が現在ほど自由でなかった時代に、先進的な表現や活動をし、女性の解放活動や地位向上に寄与しました。
さまざまなジャンルで作品を数多く残し、晩年まで教壇に立ちながら女学校時代から親しんでいた『源氏物語』の現代語訳をライフワークとするなど、多方面で活躍していた彼女の作品にはどのようなものがあるのでしょうか。今回は、与謝野晶子の作品の特徴とおすすめ作品をご紹介します。

与謝野晶子の作品の特徴及び評価

sp1

与謝野晶子は第一歌集『みだれ髪』で、それまでにない新鮮な歌風で、女性の立場から自由な恋愛を描き、自らの肉体の美しさをたたえた歌を情熱的にうたいました。京の情緒や、西洋文学の趣が、王朝文学の素養をもとに融合し、濃密な花の香りのような、華やかな風情が感じられる作品です。
女性が恋愛を語ることがタブーとされていた時代に、自らの恋を謳歌するうたをうたい、女性自ら描きだして女性賛美をしたこの歌集は、世の中に強い衝撃をあたえます。本作には賛否両論があり、おおきな話題になりました。

晶子の短歌は、第一歌集『みだれ髪』の表現スタイルを発展させ、それを磨きあげていったようにみえます。

上品、優美、清澄、艶、甘美などの情緒が情熱とまざりあって読者をひきこみ、うっとりとした心地よさをあたえるのが『みだれ髪』以降、晶子の歌の特徴です。
また実感を伴ったもののみを歌に詠み、「まことの心を歌ひおきたく候」(「ひらきぶみ」)と晶子がかいているように、そのときに感じた心の内をすなおに表現しています。

自然主義最盛期後は、生活についてかくなど徐々に現実的な要素もみられるようになり、1912年刊行の『青海波』には出産についての歌もはじめてかきました。このころ森鷗外からは「晶子さんは何事にも人真似をしない。個人性がいつも確かに認められる」(「与謝野晶子さんに就て」『中央公論』)と評されています。

そしてヨーロッパ訪問から帰ってきたあたりから、女性解放や女性の教育・自立の必要性をとなえ、評論活動を活発にするようになり、文化人・文学者の要素がつよくなっていきました。政治、家族制度、平和、職業などのテーマで社会評論をし、そのなかには世の中の人たちが疑うことなくしたがってきた常識に鋭くきりこんだものがおおくあります。

第二次『明星』が創刊された1921年ごろの短歌は、以前の甘い抒情性や香気はうすらいできていました。しかし、ものごとや風景に接したときに自然に湧きおこる激しい感情をうたい、熟達したきらめきがかんじられます。また、ものごとを深くみつめ、情緒ゆたかに表現しています。

中年期は、憂いをふくんだ歌が魅力的です。そして晩年は、しみじみと心にしみる叙景歌やおおくの挽歌をうたい、おちついた余裕がかんじられます。この晩年のうたこそ、晶子は「世に問う自信がある」とのべていました。

おおくの歌をよみ、口をついて出ることばがそのまま歌になっているような晶子は、天成の歌人ともいわれています。

また小説、随筆、詩、評論、童話、古典文学の現代語訳など、多岐にわたるジャンルの活動を晩年までつづけました。

おすすめ代表作5選

みだれ髪

与謝野鉄幹との恋愛をもとに執筆し、鉄幹の編集で刊行された、与謝野晶子(「鳳晶子」名義)の第一歌集です。女性が恋愛を語ってはならないとされていたときの作品で、世の中に大きな波紋をあたえました。情熱的に自らの魅力や、女性の官能を素直にうたった作品で、おおくの短歌が収められています。鉄幹との恋愛がすすんでいくようすを感じることのできる歌集です。ロマン主義的な作風で、好評を博しました。

[amazon]みだれ髪 (角川文庫)

[kindle版]みだれ髪 アニメカバー版 「文豪ストレイドッグス」×角川文庫コラボアニメカバー

[楽天ブックス]みだれ髪 (角川文庫) [ 与謝野 晶子 ]

君死にたまふことなかれ

日露戦争に兵役で行く弟のことを思い、戦争で死なずに帰ってくるよううたった長詩です。世の風潮にさからい、戦争反対を明確にうったえています。
軍国主義のさなかにあった当時、強く批判されましたが、民衆の気持ちを代弁した本作はおおくの人の共感を得ました。
この長詩は、1904年9月に『明星』に発表されたものです。この作品で出てくる弟は、与謝野晶子の2歳下の弟・籌三郎で、彼は戦争から無事帰還したのち、実家の老舗和菓子屋を継いでいます。

[amazon]与謝野晶子歌集 (岩波文庫)

sp1

[楽天ブックス]与謝野晶子歌集 (岩波文庫 緑38-1) [ 與謝野 晶子 ]

恋衣

山川登美子、増田雅子との共著の詩歌集。晶子の詠んだ歌は「曙染(あけぼのぞめ)」148首で、詩は6編あります。
題名の「恋衣」とは、万葉集に用例があり、常にからだにまとう衣にたとえて、いつもこころから離れない恋という意味。ロマン主義的な特性が十分に表れている作品です。

この中で、与謝野晶子が書いた「金色のちひさき鳥のかたちして銀杏ちるなり夕日の岡(おか)に」という詩は、知る人も多いのではないでしょうか。
また、晶子の「君死にたまふことなかれ」の詩も収録されています。

[amazon]恋衣

[kindle版]恋衣

舞姫

1906年1月刊行の第五歌集で302首がおさめられています。新詩社にも北原白秋などがいて、最も勢いがあったころの作品。ロマン主義的な短歌で、華やかできらびやかな、憧れの舞妓がいるシーンをえがいたものです。『みだれ髪』のように好評で、ベストセラーになりました。

[amazon]鉄幹晶子全集〈3〉小扇・毒草・恋衣・舞姫・夢之華

[kindle版]舞姫

[楽天ブックス]鉄幹晶子全集(3) [ 与謝野鉄幹 ]

新訳源氏物語

源氏物語を近代のことばに、日本で初めて書きかえたもの。人々が、源氏物語に親しむきっかけとなった作品です。女学校時代から、学問に造詣の深い父親の蔵書や、貸本で『源氏物語』などの古典的作品にしばしばふれていた晶子だからこそ、つくることのできた作品といえます。『源氏物語』は、晶子があこがれをもった王朝の恋愛物語で、彼女が文学の世界に入るきっかけとなった作品といわれています。源氏の魅力あふれる恋愛小説を、与謝野晶子のおかれた環境などにより生じた感性や心情を交えながら、彼女の言葉でいきいきと超訳されコンパクトにまとめられたものです。晶子はこの作品を100か月という短期間で制作しています。

また、これに続いて1938~1939年にかけて出版された『新新訳源氏物語』は、与謝野晶子最後の大作で、源氏物語を全訳したものです。さまざまな源氏物語の現代語訳が、『新訳源氏物語』以降出版されますが、晶子は「湖月抄」しか参考になる書物がないじきにこれを執筆しています。

[amazon]与謝野晶子の新訳源氏物語 (文芸シリーズ)

[楽天ブックス]【中古】 与謝野晶子の新訳源氏物語 (文芸シリーズ)

まとめ

今回は、与謝野晶子の作品の特徴やおすすめ作品を紹介しました。情熱的で、優美、そして率直に本心を表現した作品は、いきいきとした文体で、読む人の心をここちよくそのなかに溶けこませるような魅力があります。また、彼女が行っていた女性解放運動は、現代にも通じるものがあり、その活動はいまなお多方面から注目されています。
滞在したパリでのすばらしい文化について書かれた著書など、多岐にわたるジャンルで多くの作品を残していますので、青空文庫などで与謝野晶子の作品を読んでみてはいかかでしょうか。

👉[amazon]与謝野晶子の本はこちら。

>>与謝野晶子ってどんな人?その生涯は?性格を物語るエピソードや死因は?

スポンサーリンク

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です