丸谷才一の作品の特徴及び評価。おすすめ代表作6選

出典:[audible]からごころは嘘をつく

丸谷才一は大正時代に生まれ2012年に亡くなるまで、数多くのそして幅広い作品を世に残した作家で、「現代の文豪」とも呼ばれています。今回は丸谷才一の作品の特徴やおすすめ代表作をご紹介します。

丸谷才一の作品の特徴や評価

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ここでは丸谷才一の作品の特徴や評価を見ていきます。

丸谷才一の作品の特徴

丸谷才一は小説、評論、翻訳、随筆など幅広く、そして数多く執筆してきましたが、一番の特徴が「歴史的仮名遣い」を使用している点にあります。ですので、現代の文章でありながら、もっと昔に書かれた文章?と錯覚させるような独特さがあります。歴史的仮名遣いなのに、舞台が現代なので不思議な感覚も持つでしょう。読みにくさはありますが、ユーモアも入り混じっているので、堅苦しくなく読めます。

また、日本におけるジェームズ・ジョイス研究の第一人者でもあり、ジョイスやマルセル・プルーストなどのモダニズム文学の影響を受けてイギリス風の風俗性とユーモア、知的な味わいを重視してきたため、日本的な私小説には批判的でした。

対談が多いのも丸谷才一の特徴で、対談集も数多くあります。対談相手も大野晋や山崎正和、半藤一利、木村尚三郎、円地文子などバラエティに富んでいます。

評論家としても活躍した丸谷才一ですが、主に新古今和歌集などの勅撰集をはじめとした詞華集(アンソロジー)の日本文学史上の位置付けについて文学史論を繰り広げました。それは文学史の時代区分を政治史とは切り離して、詞華集の扱い方で分けるというものでした。

丸谷才一の作品の評価

丸谷才一は数多くの賞を受賞したことでも有名です。1967年の『笹まくら』での河出文学賞に始まり、『年の残り』の芥川龍之介賞、『たった一人の反乱』の谷崎潤一郎賞、そして多年の文学的功績により2004年には朝日賞、2011年には文化勲章を受章しています。

丸谷才一のおすすめ代表作6選

丸谷才一の作品は膨大なのでどれから手をつけていいか迷ってしまう人も多いでしょう。ここでは人気のあるおすすめ代表作をご紹介します。

思考のレッスン

読書法や文章を書くこと、アイデアを生むコツなど、丸谷才一が「どうすればいい考えが浮かぶのか」のテクニックを伝授している作品です。小手先のテクニックではなく、丸谷才一流の本を読む、考える、自分なりに書くなどの極意が対談形式でわかりやすく書かれています。歴史的仮名遣いではないので、抵抗がある人にも読みやすい一冊です。

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文章読本


多彩な名文を実例に、豊かな蓄積と深い洞察によって文章の本質を明らかにし、作文のコツを具体的に書いています。結論は本をたくさん読みなさい、名文にたくさん触れなさいというところに尽きますが、丸谷的な名文の味わい方、読み方も分かり楽しめる一冊です。

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笹まくら

主人公の浜田庄吾は、大学事務の45歳。戦争中に徴兵から逃れようと偽名を使い、日本中を転々としていた過去がありました。平穏に暮らしている今(戦後20年)でもその過去がフラッシュバックし、異常な緊迫感に襲われてしまいます。戦死した若者の葬列に行き合うたびに、この若者は自分の代わりに死んだのだという罪悪感に襲われていた戦時中の苦しさなどがヒシヒシと伝わってきます。さらに現在でも解放されたわけではなく、相手が自分の過去を知っているのではないかという恐怖や、自責の念によって次第にノイローゼぎみになっていきます。現在と過去を交互に織り交ぜて男の人生をめぐっていき、戦後も続く人生の苦しさや不安が伝わる作品です。

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樹影譚

主人公は樹木の影に不思議な愛着を持つ男。彼は小説家で、物語が入れ子状になっていて作品全体に不思議な感じが漂います。彼はなぜ樹の影に愛着を持つのか謎でしたが、小説を書いていくうちに謎が解けていき、それが怖くもあり、面白くもあり、ラスト一行まで目が離せない内容です。

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エホバの顔を避けて

旧約聖書の「ヨナ書」を基本的な枠組みにした作品で、世界の終わりの前の人間を美しい文章で描く「重厚な心理小説」と解説されています。平凡な靴職人のヨナはエホバの命を受け、世界の終わりを説くためにニネベへと赴きますが、ヨナは自分が真の預言者であるか自信が持てずにいます。揺れ動くヨナの心や最後の場面に胸が苦しくなる重さや深さがあります。

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女ざかり

吉永小百合主演で映画化もされた作品です。舞台は都内の大手新聞社で、主人公の南弓子は40代後半のバツイチシングルマザーです。弓子は男にもモテて、論説の文章もかなりのものでしたが、ある時社説が政府の逆鱗に触れて左遷の危機に陥ります。それでも負けない弓子は、恋人や友人、家族の協力を得て反撃にでます。丸谷独特の歴史的仮名遣いですが、ユーモアが満載で肩の力を抜いて楽しめる作品です。

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まとめ

いかがでしたか?丸谷才一は歴史的仮名遣いを使うといった独特の手法を使っているので、最初は読みづらさもあるかもしれません。しかしそれ以上に作品の深さや技巧の巧みさ、知識の膨大さが伝わってくる作品ばかりです。小説や対談、評論などジャンルも様々ですので、気になるものから読んでみてください。

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>>丸谷才一ってどんな人?その生涯は?性格を物語るエピソードや死因は?

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