夢野久作の作品の特徴及び評価。おすすめ代表作6選

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小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」と中井英夫の「虚無への供物」と並び、日本探偵小説3大奇書である「ドグラ・マグラ」を執筆した夢野久作。「ドグラ・マグラ」は出版当時、「この本を読破したものは必ず一度は精神に異常をきたす」と言われるほどの話題作でした。しかし、探偵小説や怪奇小説を書いた一方で、夢野久作は童話などの作品も多く残しており、その作風の変遷は興味深いものがあります。そこで今回は、夢野久作の作品の特徴やおすすめ代表作をご紹介します。

夢野久作の作品の特徴や評価について

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日本探偵小説3大奇書の一つ「ドグラ・マグラ」を残した夢野久作ですが、夢野久作の名義を使う前は多くのペンネームで童話や詩を書いていました。例えば香倶土三鳥(かぐつち・みどり)というペンネーム時代は「梅のにおい」や「鉛筆のシン」などの童話作品を執筆しており、その他、土原耕作の名前でも「ペンとインキ」などの作品を残しています。怪奇小説やある種のホラー小説のようなイメージの強い夢野久作ですが、その執筆ジャンルは幅広く、川柳なども執筆していたそうです。

夢野久作のペンネームを使用してからの特徴は、一人の登場人物が物語を物語る「独白体形式」を多く発表しているところです。その代表的な作品として「悪魔祈祷書」や「支那米の袋」などが挙げられます。また、今回ご紹介する「押絵の奇跡」や「瓶詰め地獄」などの作品に見られるような、書簡を地の文として用いる「書簡体形式」を採用したのも大きな特徴です。この二つの形式を巧みに使用することで物語に緊張感やリアリティを持たせ、読者を作品に惹きつける効果を生み出しています。

夢野久作のおすすめ作品6選

夢野久作のおすすめ作品をご紹介します。今回は有名作品を主にご紹介しますが、青空文庫などには多くの短編・超短編がありますので、お気に入りの作品を探してみてください。

押絵の奇蹟


1929年(昭和4)、雑誌「新青年」に掲載された作品で、肺病を患い命が長くないことを知った美しきピアニスト・井ノ口トシ子の数奇な人生を描いた物語です。闘病生活を送るなか、トシ子は自分と同じ年で当代きっての歌舞伎役者として知られる中村半次郎を目にします。そして半次郎との間に不思議な境遇を感じたトシ子は、自分の身の上を書いた長い手紙を送りますが、果たして二人の関係とは・・・。

この作品を読んだ江戸川乱歩は「2〜3ページ読むと、グッと惹きつけられてしまった」、「探偵小説においては珍しい名文と言える」と賞賛しました。

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あやかしの鼓(つづみ)

夢野久作が懸賞小説に応募し、2等を獲得した中編小説です。1926年(大正15)、雑誌「新青年」に掲載されました。夢野久作というペンネームでの処女作です。関わった人間全てが不幸な死を迎えるという不思議な「鼓」の話を聞いた主人公・久弥。話が進むにつれ、その「鼓」を作った人物が自分の先祖であることを知ります。父の死の間際、「絶対に鼓を習おうとするな」、「触れてもいけない」と忠告を受ける久弥でしたが・・・。作品は久弥の書いた遺書という設定となっており、夢野久作の独特の書体である独白体形式と書簡体形式が巧みに取り入れられた代表作の1つです。

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少女地獄

1936年(昭和11)、黒白書房から刊行された書簡体形式の短編小説集です。病的な虚言癖を持つ看護婦のユリ子の不思議な顛末を描いた作品「何でも無い」、「殺人リレー」、焼身自殺を発端に、関係者が次々と変死する不可解な事件が起きる「火星の女」が収録されています。どれも短い作品ですが、夢野久作の作家としての手腕が端的に味わえる作品集です。

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ドグラ・マグラ

夢野久作をもっとも代表する長編小説です。あまりにも奇怪な作品のため「読んだら発狂する」と言われていました。1935年(昭和10)に刊行されましたが、「ドグラ・マグラ」の元となった「狂人の解放治療」からおよそ10年を経て完成されました。1200ページにも及ぶ大作であり、「アンチミステリーの極北(きょくほく)」とも称されています。この作品は要約するのも難しい、さまざまな要素を含んだ小説ですので、ぜひご自身でご一読なさることをお勧めします。ちなみにこの作品について江戸川乱歩は「わけのわからぬ小説」と冷ややかな態度を示しました。

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人間腸詰(ソーセージ)

1936年(昭和11)、雑誌「新青年」に掲載された作品で、大工の治吉が若い頃にアメリカで体験した奇怪な物語を語ります。治吉がことの顛末を一人で淡々と語る独白形式文が採用されており、それにより物語の「真実性」や「不可思議さ」が強調され読者を作品へと惹きつけます。タイトルの「人間腸詰」とは一体何を意味するのでしょうか。読んだ後、背筋がゾッとするような、あるいは夢物語を見たような感覚を覚える作品です。

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瓶詰の地獄(「瓶詰地獄」の表記もあり)

1928年(昭和3)、雑誌「猟奇」に掲載された短編小説です。掲載後に何度も細かい改訂が加えられたことでも知られています。ある日、樹脂で封をされた3本のビール瓶が海岸に流れつきます。その瓶を海洋研究所に持っていき調べてみると、瓶のなかには手紙が入っていました。その手紙には、妹と無人島に辿り着いた少年が、妹への性的衝動が抑えられない旨が書かれていましたが・・・。瓶に詰め込まれた地獄とは一体なんだったのでしょうか。

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まとめ

いかがでしたか?夢野久作の作品は好き嫌いが大きく分かれますが、タイトルだけみてもなんだか興味が湧いてしまいます。人間の想像力を掻き立て、読む人の頭の中にリアルに物語を映し出す手法は、夢野久作の巧さと言えるのではないでしょうか。「ドグラ・マグラ」は大作ですが、他にもユーモアセンスの溢れる短編作品を多く残していますので、ぜひ夢野久作の作品を読んでみてください。

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>>夢野久作ってどんな人?その生涯は?性格を物語るエピソードや死因は?

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