恩田陸のプロフィール。経歴は?結婚してる?作品の特徴や代表作おすすめ9選

出典:[amazon]恩田陸 白の劇場 (文藝別冊)

ミステリーやファンタジー、青春小説、SF、ホラーまで幅広いジャンルで定評のある恩田陸。とりわけ青春小説の代表作『夜のピクニック』は人気が高く、すでに読まれた方も多いのではないでしょうか。多産の作家として知られる恩田陸は、『六番目の小夜子』でのデビュー以降、数多くの名作を世に送り出しその執筆力は現在も衰えるところを知りません。ノスタルジーを誘う情景描写を得意とする恩田の作風は「ノスタルジアの魔術師」と称され、流れるような文章スタイルが読者を恩田ワールドへ誘います。そこで今回は、恩田陸の経歴や、おすすめ代表作をわかりやすく紹介します。

恩田陸のプロフィールや経歴は?


恩田陸のプロフィールや経歴を紹介します。父親の仕事の関係で、幼い頃から引越しを繰り返していたようです。

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生い立ち

恩田陸(本名・熊谷奈苗)は1964年、青森県青森市に生まれました。しかし父親の仕事の関係で、幼い頃の恩田は日本各地を転々としおり、小学校だけでも長野県・富山県・秋田県の3県で過ごし、中学は宮城県仙台市に転校。そして中学校3年生の時に茨城県の水戸市に移り、高校卒業までを水戸で暮らしました。

小学生の頃から読書好きだった恩田は、小学2年生の時にロアルド・ダールの児童書『チョコレート工場の秘密』を読むなど読書に熱中します。また、小学生から中学生にかけて「少年少女世界推理文学全集」を読み漁り、以降、海外ミステリーに傾倒するようになります。

それと同時に大の漫画好きでもあった恩田陸は、あるインタビューで「石ノ森章太郎や手塚治虫に影響を受けて漫画を描いていた」と語っており、なかでも「サイボーグ009」や「三つ目がとおる」などの作品に強い影響を受けたそうです。

高校時代は新聞部と美術部に所属していた恩田陸。新聞部ではエッセイを執筆していたらしく、もしかしたら恩田陸の作品の原点は、漫画やエッセイで培われたのかもしれません。

高校卒業後、恩田は早稲田大学教育学部に進学します。大学ではビッグバンド部に所属し、アルト・サックスを担当していたそうです。幼少時代からピアノを習っていた恩田は、今でも「ピアノを弾くのが好き」と公言しており、ピアノコンクールをテーマにした代表作『蜜蜂と遠雷』は、もしかしたら恩田のピアノ愛の結晶なのかもしれません。

大学卒業後(1987年)、恩田は生命保険会社に就職しましたが、過労が祟り2年で休職。そしてこの間に読んだ、酒見賢一(さけみ・けんいち)の『後宮小説』に衝撃を受けた恩田は、かねてから抱いていた作家の道を志します。

『六番目の小夜子』で作家デビュー

仕事を続けながら執筆活動を開始した恩田陸ですが、本業が忙しくなると共に、大好きな読書の時間を確保できなくなったことを理由に保険会社を退職します。そして1991年、『六番目の小夜子』が第3回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補となり、翌1992年に作家デビューとなりました(仕事をしながら賞レースの最終候補作品を書けるところに、驚きを禁じ得ません)。
その後、編集者の助言により、およそ7年間不動産会社に勤めながら兼業作家として活動し、収入の安定に伴い専業作家となりました。今でこそ人気作家として知られる恩田陸ですが、意外に下積み時代が長かったことに驚きです。

恩田陸は結婚している?

今年で58歳を迎える恩田陸ですが(2022年現在)、結婚しているのかどうかについて、気になる人もいるのではないでしょうか。結論から言うと、詳しいことはわかりませんでした。いろいろ調べましたが、「結婚相手」や「配偶者」について言及している部分が見当たらなかったので、おそらく結婚はしていないと推察できます。

結婚に関する情報はありませんでしたが、大のビール好きを公言しており、何時間も飲むこともあるとか・・・。身体に気をつけて、これからも素晴らしい作品を発表して欲しいですね。

ノスタルジックな作風で人気を博す

恩田陸の作品の特徴といえば、「読者の郷愁を誘う情景描写」が挙げられます。恩田作品には、青春小説、ミステリー、ファンタジー、ホラーなどいろいろありますが、いずれの作品も、読み手にある種の「懐かしさ」を感じさせる文章の巧さがあります。こうした点が、恩田陸が「ノスタルジアの魔術師」と称される理由かもしれません。

また、恩田陸は過去作品のオマージュが多いことでも知られています。例えばデビュー作『六番目の小夜子』も吉田秋生の漫画『吉祥天女』のオマージュ作品とされ、『月の裏側』はジャック・フィニイの『盗まれた街』、『ライオンハート』はロバート・ネーサンの『ジェニーの肖像』のオマージュ作品であると語っています。既存の作品を活かしながら、新たな作品を生み出すのも、作家として重要な才能なのかもしれません。

主な受賞歴

恩田陸の受賞歴を紹介します。2017年には直木賞と本屋大賞をW受賞するという快挙を達成しています。

・2004年〜2005年『夜のピクニック』・・・第26回吉川英治文学賞及び第2回本屋大賞
・2006年『ユージニア』・・・第59回日本推理作家協会賞
・2007年『中庭の出来事』・・・第20回山本周五郎賞
・2017年『蜜蜂と遠雷』・・・第156回直木賞及び第14回本屋大賞

おすすめ代表作9選

恩田陸のおすすめ作品を紹介します。恩田作品の多くが映像化されており、映画などで観た方もいらっしゃると思いますが、この記事を機会に、ぜひ原作にも触れてみてください。

六番目の小夜子


第3回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作品であり、この作品により、恩田陸は作家デビューを果たしました。ホラーテイストやミステリー的要素を取り入れた青春小説の傑作です。NHKなどでドラマ化されたので、見たことがある方もいるかもしれません。

主人公・潮田玲が通う高校には、昔から「サヨコ」にまつわる不可解な噂話がありました。それは、3年に1度生徒の中から「サヨコ」と呼ばれる生徒が選ばれ、3つの「約束」をクリアしなくてはならないという不思議な噂でした。そんな噂を聞きつけた玲は、「サヨコ」に選ばれた幼馴染の関根秋に頼み込み、秋の代わりにサヨコを演じますが・・・。

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ユージニア

2005年に発表された長編小説です。この作品により恩田陸は第59回日本推理作家協会賞を受賞し、直木賞候補にも選出されています。17人の大量毒殺をテーマにした、スリリングなミステリー小説です。

青澤家の米寿を祝うめでたい席。しかし乾杯の直後、家族や親族、そしてパーティに参加していた人々が突然もがき苦しみ毒殺されます。凄惨な事件の後、残された現場には「ユージニア」と題された謎の詩篇が残されていました。事件解明は難航し数十年の時が流れ、当時の関係者たちは毒殺事件の様子を語ります。

インタビュー形式で物語が語られ、徐々に真相に近づくスリルがたまりません。読了後、すぐにもう一度読み返したくなる一冊です。

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ネバーランド

恩田陸が描く青春小説の傑作です。2000年に集英社から刊行され、2001年にはテレビドラマ化されました。

冬休みを迎え多くの生徒が実家に帰省するなか、松籟館(しょうらいかん)と呼ばれる寮に残ることを決めた4人の生徒たち。生徒たちは寮での自由な生活を楽しみますが、ある生徒の提案により、4人は「告白ゲーム」という謎のゲームを開始します。最初は気楽なゲームとして始めた4人でしたが、次第にそれぞれが抱える秘密が明らかに・・・。

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チョコレートコスモス


オマージュ作品を得意とする恩田陸ですが、本作は漫画家・美内すずえの「ガラスの仮面」をモチーフとして執筆されました。

劇団のオーディションを舞台に、演劇に情熱を燃やす若者たちの姿を描いた青春小説です。飛鳥と響子の手に汗を握るオーディションシーンは、まさに恩田陸の手腕の真骨頂と言えるでしょう。演劇好きの方にはもちろんのこと、そうでない方も十分に楽しめる作品です。

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夜のピクニック

吉川英治新人文学賞と本屋大賞を獲得した、恩田陸をもっとも代表する青春小説です。この作品により、恩田陸の名前が広く知られるきっかけとなったと言っても過言ではないでしょう。かく言う筆者も初めて読んだ恩田作品は『夜のピクニック』でした。2006年には映画化もされています

主人公・甲田貴子は、高校生活最後のイベント「歩行祭」にある思いを抱いていました。それは、一度も話したことのないクラスメイト、西脇融に声をかけるということ。それは周囲の仲間からすればなんの変哲もない「決意」ですが、貴子にとっては一世一代の「決意」でした。

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光の帝国

恩田陸の人気シリーズ『常野シリーズ』の第1作目です。『蒲公英草紙』『エンドゲーム』と続きます。2001年にテレビドラマ化されました。

膨大な書物を瞬時に暗記したり、未来予知といった特殊能力を持つ「常野一族」。それぞれが特殊能力持つ常野一族ですが、知的な彼らは周囲の人々に溶け込みひっそりと暮らしています。彼らの能力は一体なんのために存在し、なぜ能力が宿っているのか・・・。

『光の帝国』のみ短編集となっていますので、さまざまなテイストの作品を堪能できます。

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麦の海に沈む果実

恩田作品の中でも根強い人気を誇る作品です。筆者としては、「タイトルのセンス」にまず惹かれました。本作は『三月は深き紅の淵を』『黄昏の百合の骨』『黒と茶の幻想』と関連しており、この作品を読む前に『三月は深き紅の淵を』を読むことをおすすめします。

舞台は北の湿地帯に建つ全寮制の学園。この学園には「3月以外に転入してくる生徒は学園を破滅させる」という言い伝えがあります。そんな不思議な言い伝えがあるにもかかわらず、主人公・理瀬は2月の最終日に転入します。そして理瀬の転入により、言い伝え通り不可思議な事件が相次いで発生します。一体この言い伝えの正体とは何なのでしょうか・・・。

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三月は深き紅の淵を


上記の「理瀬シリーズ」の前段の話が収められた4編からなる短編集であり、作中に登場する『三月は深き紅の淵を』というタイトルの本をめぐる物語でもあります。一見すると関係が無いと思われる4編ですが、それぞれの話がその後の作品にリンクするミステリー要素満載の作品です。恩田陸の巧みなストーリー構成が冴える一作。

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蜜蜂と遠雷

第156回直木賞と本屋大賞のダブル受賞した作品であり、恩田陸の最高傑作とも称されています。国際ピアノコンクールを舞台に、4人の天才ピアニストが切磋琢磨する青春小説です。本作は2019年に映画化され、ご存知の方も多いかもしれません。恩田陸の音楽に対する深い知識と愛情が込められた名作です。

ピアノに興味がない方も、この作品を読むことで興味が湧くこと間違いなしです。作中で登場する楽曲を聴きながら本作を読むのも、楽しみの一つかもしれません。『夜のピクニック』と同様、恩田作品を初めて読む方にはうってつけの作品です。

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まとめ

いかがでしたか?今回は恩田陸のプロフィールやおすすめ作品を紹介しました。どの作品も読みやすく印象的な作品ばかりですので、まだ恩田作品を読んだことない方は今回紹介した作品を参考にしてみてください。多作で知られる恩田陸ですが、今後も読者の期待を超える作品を発表してくれると思います。そういう意味で、これからも恩田陸から目が離せません。

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