夏目漱石の作品の特徴及び評価。おすすめ代表作5選

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夏目漱石の作品で好きな作品は?と聞かれたら、あなたはどの作品を選ぶでしょうか?。猫の視点で描かれたユーモア溢れる「吾輩は猫である」でしょうか、それとも「こころ」でしょうか。38歳で作家デビューした夏目漱石は、わずか10年あまりという短い作家活動でした。しかしその間に発表した作品はどれも名作であり、森鴎外とともに近代日本文学を象徴する作家として現在も愛されています。そんな時代を超えて愛される夏目漱石の作品にはどのようなものがあるのでしょうか。今回は漱石の作品の特徴やおすすめ作品をご紹介します。

夏目漱石の作品の特徴と評価

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夏目漱石の作品の特徴はどんなところにあるのでしょうか。エピソードも交えつつ紹介します。

漱石が提唱した余裕派とは?

漱石の文学はしばしば「余裕派」と言われています。余裕派とは「ものごとを余裕をもってゆったりと眺め、落ち着いた視点で作品を執筆する」人々のことです。「低徊趣味(ていかいしゅみ)」とも呼ばれています。漱石が高浜虚子の小説で用いたことに由来し、漱石の他に正岡子規、寺田寅彦などが余裕派の代表者です。「吾輩は猫である」は余裕派作品の典型とされ、主人公の視点というよりは猫の視点から世界を覗き込む、客観小説となっています。

自然主義文学との対立

余裕派の立場を取った漱石は、当時流行していた島崎藤村や田山花袋などの自然主義文学に反発を覚えます。自分の日常生活などを赤裸々に表現する自然主義の文学は、客観性と想像力による文学を目指した漱石とは相容れないものでした。
また、漱石の作品の特徴は第三者的視点で物語を描き、作中人物の感情に流されないことから「非人情」とも言われていますが、こうした特徴も自然文学と対立した大きな要因でした。

新潮文庫で一番売れている小説は「こころ」

新潮文庫版でもっとも売れている作品は、漱石の「こころ」であり、現在もこの記録は破られていません。2016年時点で発行部数700万部を超え、不動の人気を得ています。もしかしたら、国語の感想文に指定される機会が多いことが理由かもしれませんが、100年以上経過した現在でも、漱石が伝えたかったメッセージは変わらず私たちの心に響いているのは間違いありません。

夏目漱石のおすすめ作品5選

夏目漱石のおすすめ作品を5つ紹介します。「坊ちゃんが入ってない!」とか「虞美人草でしょ」というご意見もあるかもしれませんが、その辺はあくまでも主観ということでご理解ください。

夢十夜

1908年7月から8月にかけて東京新聞に連載された作品です。作品は10の夢を題材としており「こんな夢を見た」の冒頭で始まる第1夜、2夜、3夜、5夜が特に有名です。「吾輩は猫である」や「坊ちゃん」などの明るい雰囲気とは異なり、幻想文学としても有数の作品とされています。個人的には「運慶が護国寺の山門で仁王を刻んでいると云う評判だから・・・」で始まる第6夜がオススメです。

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それから

1909年、東京・大阪朝日新聞に連載された長編小説です。「三四郎」、「門」と並び夏目漱石前期三部作の1つです。作品のテーマは「愛」であり、愛をめぐる人間心理が漱石の巧みな文章と構成で描かれています。

定職に就いていないがお金に困ることのない主人公・長井代助。そんな代助は友人の妻・三千代に恋心を抱き、やがて2人で生きようと決心します。愛の倫理的根拠を探求した、漱石の代表作です。

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こころ


1914年、朝日新聞にて連載された作品です。連載当初は「心・先生の遺書」として発表されました。学校の読書感想文の課題で読んだ方も多いのではないでしょうか。
鎌倉の由比ヶ浜で「先生」と知り合った「私」。交流が深まるにつれ、「先生」が雑司ヶ谷にある友人の墓参りに毎月欠かさず行くことを知ります。先生の過去を知ろうとする「私」ですが、「先生」はなかなか答えてくれません。やがて実家に帰ることになった「私」の元に、「先生」から分厚い手紙が届きます。そこには、かつて「先生」が経験した自己反省ともとれる物語が書かれていました。

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草枕

1906年、雑誌「新小説」に掲載された作品です。漱石の作品は文の始まりが印象的なものが多く「草枕」もその一つです。
「山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」は特に有名で、「非人情」の世界を信条とした漱石初期の傑作とされています。

洋画家の主人公が温泉宿に宿泊するところから物語が始まります。温泉宿には出戻りの若奥様・那美がおり、ひょんなことから親しい仲になります。「非人情」を決め込む那美から、「自分を描いて欲しい」と懇願される主人公ですが・・・。

芸術的美意識(エゴイズム)を軸として展開する、漱石初期の傑作です。

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明暗

1916年、朝日新聞に連載された長編小説です。漱石作品で最長作品ですが、同年に漱石が病死したため未完となっています。明治が終わり、大正という新しい時代を舞台に、夫婦関係を軸とした人間のエゴイズムを描いた作品です。
またこの作品において漱石は、自身の則天去私の境地を描くことを目指していたとも言われています。「作者死去のため未完」という作品は多々ありますが、物語の結末が知りたくなるという意味で、これ以上の作品はないでしょう。

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まとめ

今回は夏目漱石の作品について解説しました。漱石の作品は「すべての作品がおすすめ」と言えるほど素晴らしい作品ばかりですが、みなさんのお気に入りの作品はあったでしょうか?漱石は小説だけではなく「倫敦塔」などのエッセイや「私の個人主義」といった講演録も残していますので、小説以外の漱石に目を向けてみるのも面白いかもしれませんよ。

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>>夏目漱石ってどんな人?その生涯や家族は?性格を物語るエピソードや死因は?

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