中島敦の作品の特徴及び評価。おすすめ代表作7選

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中島敦は33歳という若さで生涯をとじた寡作の作家とも呼ばれ、おもに漢文調の端正な小説を残しました。代表作「山月記」が高校の教科書で取り上げられているため、知っている人もいるでしょう。発表された作品はそれほど多くはありませんが、どれも魅力的なものばかりです。
今回は中島敦の作品の特徴や評価、おすすめ代表作をご紹介します。

中島敦の作品の特徴や評価は?

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中島敦の作品の特徴

中島敦は漢学者が多い家庭で育ち、漢文古典や中国古典に対する素養が深く、漢文的な文体が特徴です。さらに西欧哲学や西洋文学も学び、実存的な解釈や審美的な感覚をもっています。幼いころから母がいなかったこと、11歳のころ担任教師から地球滅亡の話を聞かされ神経衰弱になった体験、さらには朝鮮・満州・パラオなど多くの日本植民地を訪れた影響から虚無感や喪失感なども持ち合わせています。『弟子』『李陵』のような歴史上の人物を通して人間を描く作品も多く、運命的な人物に自分の内面性を投影させていたのではないかといわれています。

中島敦の作品の評価

中島敦が亡くなる7ヶ月前に発表された『光と風と夢』は、第15回芥川賞候補となり、とくに川端康成や三島由紀夫から高く評価されていました。芥川賞受賞とはなりませんでしたが、生涯を終えた後に文学的評価が高まります。戦後1948年には『中島敦全集』が筑摩書房から刊行され、毎日出版文化賞を受賞し、高く評価する書評が寄せられました。また戦後の国定教科書で『弟子』が孔子に関する補助教材として採用され、1950年は『山月記』が教材となります。戦後の紙不足のなかで『中島敦全集』は「良書」の代表として社会に受け入れられていったそうです。

中島敦おすすめ代表作7選

ここでは中島敦の代表作をご紹介します。気になるものからぜひ読んでみてください。

『山月記』

高校の教科書に取り上げられている有名な作品です。「尊大な羞恥心」と「臆病な自尊心」というフレーズを覚えている方もいるのではないでしょうか?「山月記」は、賢いがプライドが高く頑固な主人公・李徴が役人をやめて詩人を志すものの、詩人としての成功は難しく、姿を消してしまいます。やがて李徴は虎になってしまい、日に日に自我までも虎と化していきます。恐怖や孤独が描かれ心が痛みますが、美しく品格のある文章が特徴です。高校時代に読んだ方でも、大人になってから読むとまた違った味わいがあるでしょう。

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『光と風と夢』

芥川賞候補作で、中島敦のなかでは最も長い作品です。『ジキル博士とハイド氏』の著者でもある英国作家ロバート・ルイス・スティーブンソンのサモアでの暮らしを描いた日記帳の長編小説で、半伝記的な性格をもちます。病気の療養で転々とした末にサモアに落ち着いた英国作家の、島の暮らしや島の人々、本人の生い立ちなど実際の出来事をもとに書かれています。

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『弟子』

孔子の弟子・子路を主人公にした物語で、温和な師匠である孔子とまっすぐで気性が激しく豪快な弟子・子路の師弟関係が描かれています。

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『李陵』

「漢書」をもとに書かれた作品で、中国の物語が楽しめます。漢は武帝の時代で、モンゴルの遊牧民匈奴と敵対関係にありました。漢軍を率いる李陵が敵軍に捕らえられ捕虜になったことから、敵に寝返ったと誤解した武帝が李陵の一族を殺してしまい、李陵を弁護した司馬遷も過酷な罰を受けます。さらに匈奴に捕虜となり漢に帰ることを待ち望む蘇武も描かれ、理不尽と戦う男たちの生き様がいきいきと伝わってくる作品です。

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『名人伝』


主人公紀昌が弓の名人になるまでの話です。紀昌が弓の名手である飛衛のもとで訓練をしていき、厳しい修行の末、熟達します。しかし郷里に帰った彼は周囲の期待にもかかわらず、人前で弓を扱うことはなかったというユーモラスな内容で、名人とは何かを考えさせられます。またこの作品は、中島敦が最期に書いたのではないかともいわれています。

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『文字禍』

アッシリア王国の老博士が文字の研究をし、次第に文字の霊に取り憑かれていくという奇妙な物語です。中東が舞台で、文字の普及により人々の頭が働かなくなっていく、記憶できなくなっていくといった危機感を抱くものの自分自身も逃れられないというアイロニーが示されています。中島敦の作品のなかでも珍しいタイプの作品です。

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『悟浄出世』

西遊記の登場人物である沙悟浄を主人公にした作品で、細田守監督の 『バケモノの子』に引用されている部分があるとか。沙悟浄は何に対してもなぜ?と考えてしまう妖怪で、「自分とは何か?」の答えをもとめようとさまざまな賢者に出会っていき、最後に三蔵法師に出会うまでの物語です。

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まとめ

いかがでしたか?今回は中島敦史の作品の特徴や評価、おすすめ作品をご紹介しました。整えられた漢文調は難しく感じるかもしれませんが、中島独自のユーモアも織り交ぜられていますし、歴史や古典を舞台に人間を描いている作品も多いため、歴史好きならイメージしやすい話も多いでしょう。青空文庫などで気軽に読めるので、ぜひ読んでみてください。

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>>中島敦ってどんな人?その生涯は?家族や死因、人柄のわかる逸話は?

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