中性脂肪の基準値。男女年代別の平均は?高いとどうなる?

健康診断、定期的に受けていますか?

普段は何ともないのに、検査で異常を指摘されてびっくりしたことはありませんか?

中性脂肪は、健康診断でひっかかりやすい項目の1つであり、自覚症状がほとんどないことが大きな特徴です。今は問題がない方も「自分は大丈夫だから」と安心せず、中性脂肪について詳しく知っておきましょう。

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中性脂肪とは

中性脂肪(トリグリセリド)とは、体内にある脂肪の一種です。食事から摂取した糖質・たんぱく質・脂質は、人が活動するためのエネルギー源になりますが、必要以上に摂ると肝臓へ運ばれて中性脂肪に合成されます。その後血液中に入って全身を巡りながら、臓器や筋肉が働くために使われ、余った分はエネルギーが不足した時に備えて、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられます。他にも体温を一定に保つ、骨や内臓を守るためのクッションになるなどの働きがあります。人間にとって中性脂肪は必要不可欠なものなのですね。

中性脂肪の基準値

身体の中で重要な働きをする中性脂肪ですが、多すぎても少なすぎても悪影響を及ぼします。

中性脂肪の基準値は、30~149mg/dLです。150mg/dLを超えると、「高トリグリセリド血症」と呼ばれます。

男女年代別の平均

では、日本人の中性脂肪値は実際どれくらいなのでしょうか。男性と女性の年代別にみた平均値は以下の通りです。

男性 女性
20代 145.6mg/dL 87.0mg/dL
30代 132.3 102.1
40代 183.9 110.6
50代 180.3 133.3
60代 162.9 138.7
70以上 135.9 131.7

(平成26年国民健康・栄養調査報告)

男性は40代、女性は50代から中性脂肪値が上がっていますね。

なぜ中性脂肪値が高くなるのか

なぜ中性脂肪値が高くなるのでしょうか。原因は主に4つあります。

  1. 過食
  2. アルコール
  3. 運動不足
  4. 遺伝

遺伝を除けば、どれも生活習慣に関わることばかりですね。過食と運動不足は、いずれも摂取したエネルギーが消費しきれずに余るため、皮下脂肪や内臓脂肪を増やしてしまいます。アルコールは中性脂肪を分解する酵素の働きを悪くするため、体内の中性脂肪増加につながります。また、お酒を飲むことで食が進み、結果食べ過ぎてしまうことも間接的な原因になります。

男性が40代から中性脂肪値が高くなるのは、仕事などによる生活習慣の乱れが原因であると考えられます。女性が50代まではそれほど数値が高くないのに、高齢になると上がるのは、閉経によるものです。女性ホルモンには、コレステロールや中性脂肪の増加を抑える働きがあります。更年期を迎えると女性ホルモンが減少するため、これまでと変わらない生活をしているにもかかわらず、脂質値が悪くなるのです。

中性脂肪の値が高いとどうなるか

中性脂肪値が高くても、特に不調を感じない方が多いでしょう。ところが体内では、気づかないうちに動脈硬化が着々と進んでいます。動脈硬化とは、血管の内壁にコレステロールや中性脂肪が付着して、血管が狭く硬くなることです。血栓ができたり、血管が破れやすくなり、脳梗塞、脳出血、狭心症、心筋梗塞など、日本人の死因の上位を占める重篤な疾患につながります。自分は元気であると思い込んで過ごしていたら、ある日突然…などという恐ろしい事態にもなりかねません。

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また肝臓に使い切れなかった中性脂肪が蓄えられると、脂肪肝になります。肝臓というとアルコール摂取を連想するかもしれませんが、日本人に多いのは食べ過ぎによる脂肪肝です。脂肪肝を放置すると肝硬変、肝細胞がんへと進行する可能性があるだけでなく、心疾患の合併率が高くなります。肝臓もまた「沈黙の臓器」と呼ばれるように、重症化するまであまり自覚症状がありません。

中性脂肪を減らすには

中性脂肪値は生活習慣と深く関わるため高くなりやすいですが、逆に生活習慣を改善すれば、わりと容易にコントロールすることができます。「毎日の食習慣の見直し」と「継続的な運動」の両方をバランス良く実行することがポイントです。すでに中性脂肪が異常値である方はもちろん、今は基準値内である方も、動脈硬化を予防するために次のことを意識してみてはいかがでしょうか。

毎日の食習慣の見直し

  • 1日3食をできるだけ決まった時間に食べて、間食や夜食を控える
  • 腹八分目の量をよく噛んで食べる
  • 糖質を摂りすぎないようにする(砂糖、パン、ご飯、お菓子、果物など。玄米、ライ麦パン、そばなどを選ぶとより効果的)
  • 野菜や魚を多めに取り入れて、バランスの取れた食事を心がける
  • 野菜→たんぱく質→炭水化物の順に食べる
  • アルコールを極力控える。飲酒する場合はおつまみに気をつける

継続的な運動

中性脂肪値を下げるのに有効なのは早足での散歩・ジョギング・サイクリング・水泳などの有酸素運動です。1日30分以上、週3回以上の有酸素運動を長期間継続して行う必要があります。普段運動にまとまった時間を取るのが難しい方は、日常生活で以下のことを心がけて運動不足を解消しましょう。

  • ストレッチや筋トレを日課にする
  • 食前に体を動かす
  • 普段から早歩きを心がける
  • 一駅分歩いたり、階段を使う
  • 日頃の姿勢や呼吸(時間をかけて吐く)に気をつけるだけでも効果あり

中性脂肪値は血液検査を受けない限り分からないので、健康診断は定期的に受けて、早期発見・早期治療を心がけましょう。また、中性脂肪が基準値の150mg/dL未満であったとしても、前回の検査と比較して数値が高くなっている場合は、生活習慣を見直して早めのケアに取り組みましょう。

中性脂肪は、前の日の食事で大いに変動します。検査の前の日に脂肪たっぷりの焼肉、などを食べると、血中濃度が非常に高くなることがあります。ただ、検査の前の日だけに節制するのは意味がないので、普段の食事を取って行くようにしましょう。ただし検査前は夜9時以降の食事は避けてください。

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