健康診断や人間ドックの結果を見て、中性脂肪の値が低いとホッとしますよね。詳しい理由までは知らなくても、私たちは”中性脂肪が高い=悪い結果”だと何となく理解しています。
でも、中性脂肪は低すぎても問題であることをご存知ですか?
中性脂肪は低ければ低いほど良いものではない理由と、低くなってしまう原因について、対策を含めて説明していきます。
中性脂肪とは?
中性脂肪は体内にある脂肪の一種。使用されなかったエネルギーは皮下脂肪や内臓脂肪として貯蔵されることになりますが、その多くは中性脂肪です。
中性脂肪の役目は、まず体を動かすエネルギー源になること。エネルギー源として最初に使われるのは血中の糖分ですが、それが無くなると蓄えられた中性脂肪が使われます。
この他にも体温を一定に保つ作用や、内臓を守る役目を果たしているので、少なすぎても困る必要なものなのです。
中性脂肪の成り立ち
中性脂肪の基になっているのは、脂質・糖質・たんぱく質。脂質は小腸から吸収されエネルギー源となり、使い切れなかったものが中性脂肪となります。炭水化物とタンパク質はそれぞれ分解され、肝臓に蓄えられます。
アルコールも中性脂肪に関係しており、摂取すると肝臓で分解される過程で習性脂肪の合成を促す酵素を発生させます。
このように、食事やアルコールを摂取することで得たエネルギー源の余剰分が、中性脂肪になります。食べ過ぎや脂質・糖質の摂りすぎが多くの余剰分を生み、皮下脂肪や内臓脂肪になってしまう仕組みが理解できますね。
低中性脂肪の問題点は?
肥満や生活習慣病の原因ともなる中性脂肪が低ければ、一見健康そうに感じてしまいます。しかし正常値である30未満になってしまうのも問題なのです。
①動脈硬化の可能性も!
中性脂肪はエネルギーの蓄えでもあるので、これが無くなってしまうと、新しい細胞を作ることも不可能になってしまいます。つまり代謝が落ち、体が老化していくことに。
さらに新たに摂取する栄養素は脳や内臓といった、生命維持のための臓器に優先的に回されます。そのため血管に行き渡らず、古く硬くなり、そうした状態が長く続けば最悪の場合、動脈硬化になってしまいます。
動脈硬化は心筋梗塞や脳内出血などの原因。栄養不足によっても、こうした病気になってしまう可能性もあるんですね。
②ビタミン不足に!
脂溶性のビタミンは中性脂肪と結びつき、血液に乗り体の様々な部位に運ばれていきます。したがって、中性脂肪が極端に少ないとビタミンを摂取しても使用されず、体がビタミン欠乏症になってしまうのです。
脂溶性のビタミンの代表的なものは、ビタミンA・D・E・K。ビタミンAは網膜の働きに不可欠なので視力に影響を与えますし、ビタミンDは免疫力向上と骨の形成に必要なもの。ビタミンEは抗酸化物質であり、不足すると貧血を招きます。ビタミンKは血液の凝固作用とこちらも骨を強くするものです。どれも不足すると体に影響を与えるものばかり!
ビタミンの運搬に必要な中性脂肪の大切さが理解できますね。
③病気の可能性も!
栄養を摂っているのに低中性脂肪の場合は、肝機能の低下や甲状腺の病気(パセドウ病)の可能性が疑われます。どちらも早めに治療を受けたい病気なので、必ず再検査か専門の検査を受けましょう。
低中性脂肪の原因と対策
低中性脂肪になる大きな原因はダイエット。極端な食事制限や、糖質制限・野菜ばかり食べる等の偏った食事が、エネルギー源や栄養素の不足を招きます。また前述の③に挙げた、病気である可能性もあります。
対策としては無理なダイエットは絶対にしないこと。ダイエットをする場合にもバランス良い食事をしながら、運動も並行して行いましょう。食事だけで痩せようとすると、どうしても体に影響が出てしまいがちです。肌の乾燥や老化も招くので、女性は特に気を付けてくださいね。
参考文献)
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