出典:[amazon]潮文庫 ぼくはこう生きている君はどうか
小説が好きな方であれば、どのような作者がいるのか気になることもあるでしょう。小説の内容は作者によって傾向やジャンルに違いがあるため、特徴を知ることで自分の好きな小説なのか知ることができます。
いろいろな小説家が日本にもいますが、その中で重松清という方を知っているでしょうか。有名な小説家ですが「どのような作品の特徴があるの?」「代表的な作品には何があるの?」と疑問を感じることもあるでしょう。重松清について内容を紹介しましょう。
重松清の経歴とエピソードとは?
重松清は有名な作家ですが「どのような経歴やエピソードがあるの?」と疑問を感じることもあるでしょう。重松清は1963年に岡山県久米郡久米町(元津山市)で生まれました。家族構成は両親と妹がいます。岡山県で生まれた重松清ですが、幼少期から転居を繰り返していたこともあり、岡山だけでなく大阪や名古屋、米子など至るところを転々としていました。
父親の職業ははっきりしていないので分からないですが、重松清は幼少期から吃音があり「「か」行の発音が苦手だったようです。転校を繰り返していたこともあり、会話をすることは苦手に感じており「か行」で始まる言葉を避けていたようですが、成長するにつれて吃音は大分改善されていったようです。
幼少期にはコンプレックスもあった重松清ですが、中学や高校時代は山口県で過ごすことになり、高校1年生の夏に矢沢永吉さんの「成り上がり」を読んで衝撃を受け、上京への思いが強くなりました。この本を読んでから「ビッグになりたい」という思いが強くなり、1981年に山口県山口高等学校を卒業した後は18歳で上京を果たしました。
その後は早稲田大学教育学部の国語国文科で勉強をして卒業します。その後、角川書店という出版社に勤務した重松清でしたが、10ヶ月と1年持たずに退社し、独立してフリーライターとして仕事を行います。ペンネームは田村章や岡田幸四郎など多数持ち合わせていましたが、1991年に「ビフォア・ラン」で小説家デビューした後は、多くのドラマや映画、ノベライズに採用されるようになりました。
1999年には「ナイフ」で坪田譲治文学賞を「エイジ」では山本周五郎賞を受賞しました。「定年ゴジラ」や「カカシの夏休み」は直木賞の候補作まで残りましたが、これらの作品は落選してしまいます。しかし、翌年の2000年に「ビタミンF」という作品が2000年下半期の直木賞に受賞された、最高の評価を得ることができました。
2002年には「流星ワゴン」が本の雑誌の年間ベスト1に選出されるなど、いろいろな作品が受賞されていきました。また、作品以外にもXbox 360用のゲームソフト「ロストオデッセイ」においてサブシナリオを担当したり、2007年には第74回NHK全国学校音楽コンクール中学校の部課題曲(めぐりあい)の作詞を担当するなど、作家以外としても活躍する場を広げています。
ただ、その後も2010年に「十字架」で吉川英治文学賞、2014年「ゼツメツ少年」で毎日出版文化賞を受賞して、多くの作品の高評価も変わっていません。
2017年には早稲田大学文化構想学部客員教授を務めており、重松清はマルチな活躍を行っています。
重松清は結婚しているのか?
重松清は結婚しているのか気になる人もいるでしょう。重松清は早稲田大学を卒業した後に22歳で結婚しています。当時は卒業してから角川書店に入社したこともあったため、そのまま大学の同級生であった人と結婚したようです。
結婚して6年後の28歳のときに長女が誕生して、33歳とのときに次女が誕生しています。重松清は家族の存在について自宅の階段の手すりが外れてしまい、手すりのない階段の昇り降りしていたことを例題にしています。
普段は意識していなくても心許せなくなるものが存在すると不安を感じるように、支えとなってくれる人がいることが大事と認識した言葉を残しています。重松清は結婚して妻がおり、2人の娘がいると言う家族構成です。
本名はどうなっている?
重松清はいろいろなペンネームを使用しており田村章や岡田幸四郎という名前で作品を出していることもあります。そのため、本名が分からなくなる人もいますが、重松清という名前が本名です。いろいろ名前があるため混乱することもあるかもしれませんが、本名を押さえておきましょう。
重松清の作風はどんな感じなのか?
重松清は「現代の家族」を描くことを大きなテーマとしており、親子や夫婦と言った人間関係を描いた作品を執筆しています。作品はあり得ないような設定ではなく、どこにでもいるような普通の人々を描いているため、物語の世界に入り込みやすいのが特徴です。
また、小説の内容も感動するようなものが多く、2021年には重松清の泣ける本だけを集めたフェアが開催されています。登場人物の心理面や内面の描写や家族のあり方について独自の考え方を持っているため、小説が好きな人にとっては大きな魅力に映ることでしょう。
文章も難しい用語ばかりではなく、読みやすいように工夫されているため、大人だけでなく、小学生くらいの子供でも読んで楽しむことができます。重松清の作品をぜひ、読んでみるようにしてください。
重松清のおすすめ代表作品とは?
重松清はいろいろな作品を執筆しており、数々の受賞もされています。ただ「どのような作品がおすすめなの?」と疑問を感じる人もいるでしょう。重松清のおすすめ作品はいろいろあるため、どれもおすすめですが、その中で代表的なものを紹介しましょう。
きみの友だち
この作品は学校を舞台にして、友だちとの関係性について丁寧に描かれています。長編大作となっており、2008年には映画化もされている作品です。本作品では章ごとに優等生やひねた奴、弱虫、八方美人など8人の「きみ」が登場し、足の不自由な子や病気がちな子、あるきっかけが原因で今までの仲がチグハグになってしまう子たちなど、いろいろな場面を見ることができます。
登場人物たちの衝突や痛み、喪失などを描きながら友だちとは何かを作品の中で問いかけており、泣ける作品としても評価されています。友だち関係について悩む現代ではおすすめできる作品であり、特に学生の方なら感情移入しやすいはずです。もちろん、大人の方が読んでもおもしろさを感じるので、ぜひ読んでみてください。
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ビタミンF
ビタミンFは重松清が直木賞を受賞した作品であり、家族小説として高い評価を得ています。この作品は「黄金期」を過ぎようとしている7家族を描いており、1つ1つにドラマがあっておもしろいです。ある家族は息子が理想通りに育たなかったり、突然自分の娘に彼氏ができたり、夫婦仲に危機が訪れたりなど、現代の家族の悩みについて書かれています。
自分の家族に当てはまる内容が記載されていることもあるため感情移入しやすく、重松清の織りなす表現力によって引き込まれるストーリーとなっています。こちらの作品は累計80万部を突破しているほどなので、重松清の作品でも大人気となっておりドラマ化もされました。家族小説が好きな方や父親として家族とどう接していくべきか考えている人は読んでみることがおすすめです。
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その日の前に
こちらの作品は生死や家族の幸福の意味を問う連作短編小説となっており、人が亡くなるその日について書かれた名作と言われています。物語の中では余命を宣告された妻とその夫が「その日」まで生と死に向き合い一生懸命に生きる姿、また関連する周りの人たちも鮮明に描かれており、作品を読むにつれて健気な気持ちが湧いてくるはずです。
この作品を読むことで男女が出会って夫婦になることや家族になることの幸せについて考えさせられるため、非常に深みのある内容となっています。1章ごとの話はそれぞれを読み終えることでつながっており、最後は感動する内容となっているのが魅力です。ラジオやテレビ、映画化などもされているため、泣ける作品の1つとして考えてみましょう。
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エイジ
この作品は中学生のリアルな日常を描いた青春小説となっており、山本周五郎賞の受賞作です。物語は主人公のエイジが中学2年生のときに、町で連続通り魔事件が発生してだんだんと犯人の行動がエスカレートしていきますその犯人は結果的に捕まえられますが、エイジの同級生であり、エイジはいろいろな思いを持つようになっていきます。
エイジは他にも家族や友だちからの影響、また好きになった女子に思い巡らすなどして成長していくため、読んでいると爽やかな気分になっていきます。中学生の複雑な心境を描いているため、その年齢に近い学生にはもちろん、大人の方も思春期の子供の心情を理解できるためおすすめです。2000年にはドラマ化もされたため、作品とドラマの両方を見てみることもおすすめです。
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とんび
とんびは重松清の大ベストセラーであり、父と子の絆を描いている作品です。物語の舞台は瀬戸内海となっており、小さな町である広島県備後市です。高度経済成長期の夏に運送会社勤務のヤスに長男アキラが誕生して、妻の美佐子と子供の成長について見守っていきます。
ただ、突然の悲劇によって幸福は打ち砕かれ、ヤスは不器用ながらもヤスを育てていきます。物語を通して子供を育てる難しさを感じながらも、成長していく姿を見ると感動もするでしょう。重松清の時代へのオマージュも込められており、小説としては至極の作品と言えるでしょう。
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重松清の作品を読んでみよう
重松清の経歴と代表作品について内容を紹介してきました。重松清は今までいろいろな作品を残しており、ドラマや映画化されたものも数多くあります。小説も読みやすいため、あまり本を読まない方にもおすすめです。ぜひ、1度作品を読んでみるようにしてください。
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