加圧トレーニングという言葉は、ここ数年ですっかり世間に定着しましたよね。
ただTVや雑誌でトレーニングの様子を見ると、「腕や足にベルトを巻いて、何やら苦しげにトレーニングしている。辛そう」といった印象を持ちませんでしたか？
きつそうなイメージだけが残り、特に女性は「ハードルが高そう」と感じる人も少なくないようです。
でも加圧トレーニングのメカニズムを良く理解すると、決して「重い負荷をかけ筋肉を増強する」目的のトレーニングでないことが分かってきます。
加圧トレーニングとはどのようなものか？そのダイエット効果や、成功するための方法などを紹介していきます。
加圧トレーニングとは？
加圧トレーニングとは腕や脚のつけ根に専用ベルト装着し、締め付けて加圧することで血流量を制限した状態を作りトレーニングをする方法のこと。
その歴史は意外と古く、発明者であるボディビルダーの佐藤義昭氏が加圧トレーニングのヒントを得たのは1966年にまで遡ります。
中学生の頃からボディビルに憧れ自己流のトレーニングを行っていた佐藤氏は、ある法事の席で長時間正座をしていたため足がしびれてしまいました。
そのしびれを緩和するためにマッサージを行ったところ、ふくらはぎの張り具合が”トレーニングで筋肉を追いこんだ状態と非常に似通っていることに気づきます。
これを検証した時に両方の共通点が「血行が悪くなっている」状態であることに着目し、血流を悪くすることで人工的にハードなトレーニングと同じ状況を作り出せるのでは？と考えたことから、加圧トレーニングが誕生したのです。
足のしびれからヒントを得る佐藤氏の発想力の豊かさには驚かされますね。
その後は誰もが安全に取り組める方法を確立すべく試行錯誤を繰返し、1993年には日本国内での加圧トレーニング方法論の特許を出願。
2000年以降、加圧トレーニングジムが増え始め現在に至っています。
加圧トレーニングのメカニズム
加圧ベルトで血流を制限することで、通常の20%程度の力で筋肉を強化できる。
これが加圧トレーニングの魅力です。
筋肉が強化されるメカニズムは以下のようになります。
①加圧する際は血流の動脈側を程良く、静脈側を強めに制限することで、腕や脚に血液が留まりやすい状態にします。これによって、普段あまり使われない毛細血管にまで血流が流れるように。
②加圧トレーニングを行うと、軽い負荷でも筋繊維がたくさん使用され、さらに血中の酸素が不足することで乳酸濃度が急激に高まります。
この乳酸が筋肉内にある受容体を刺激すると、脳は「体が凄く疲れている！」と勘違いしてくれるので成長ホルモンを通常より多く分泌してくれるのです。
その量は通常時の約300倍とも言われています。
③この成長ホルモンの分泌により脂肪分解がスムーズに行われたり、筋肉を形成します。
加圧トレーニングの効果とは？
加圧トレーニングの効果は筋力アップだけではありません。女性芸能人やモデルでも加圧トレーニングを取り入れている人は多く、ダイエットだけでなく美容面でも効果が得られるのをメリットに感じているのではないでしょうか。
年を重ねることに綺麗になる深田恭子さんや、抜群のプロポーションを誇る奈々緒さん、杉本彩さんなどが有名です。
効果としては以下の５つが挙げられます。
①筋力アップ
従来のようなハードなトレーニングではなく、軽い負荷で高い効果が得られるので継続しやすいメリットがあります。また時間も15～20分程度と短時間しか行えないので、忙しい現代人にとってはその点もメリットと言えますね。
②ダイエット効果
前述したように加圧トレーニングによって、大量の成長ホルモンが分泌されます。
成長ホルモンには肥満改善効果もありますし、トレーニングにより筋肉量がアップすることで基礎代謝も上がり、脂肪が燃焼しやすい体への変化も期待もできますよ。
③血行促進
加圧と降圧を繰り返すことで、弾力性のある血管に甦る効果も！加齢によって硬くなった血管は血液を送り出す力が弱くなりますが、トレーニングを行うことで血流も良くなり、新陳代謝が活発になります。これにより冷え症や肩こりが改善されます。
④回復力のアップ
加圧トレーニングは負荷が低いので、リハビリや怪我をしている人でも個人の回復に合わせてトレーニングを行うことが可能です。研究データによるとトレーニングによる成長ホルモンの力により、筋肉や体組織の修復が早くなると考えられています。
⑤アンチエイジング
成長ホルモンは通常ですと、睡眠時と激しいトレーニングをした後にしか多く分泌されません。加圧トレーニングを行うと大量の成長ホルモンが分泌されるので、肌のツヤやハリが甦り美肌効果もあるようです。また血行も良くなっているので、成長ホルモンとのWパワーで育毛効果も期待できるかもしれませんね。
加圧トレーニングにダイエット効果はある？
加圧トレーニングの効果の1つとしてダイエット効果が挙げられます。
ただ女性の場合、いくつか気を付けておきたいことがあります。
まず加圧トレーニングの効果が出始めると筋肉量がアップします。
筋肉は脂肪より重いので、一時的には体重が増える結果になる可能性もあります。
また女性は筋肉がつきにくく落ちやすいので、男性よりは加圧トレーニングによる変化も表れにくいかもしれません。即効性を期待するよりは、最低3カ月は継続して様子をみる必要がありそうです。
ただ継続することで徐々に結果は出てくるので、続ける努力を厭わない・定期的に加圧ジムに通う時間を確保できる人にはオススメのダイエット方法です。
加圧トレーニングは毎日通うものではなく、筋肉を休める必要もあるので週に1～2回程度行う人が多いようです。
即効性のあるものではありませんが、きちんと続ければ1か月を経過した頃からウエストや太ももが細くなってくるといった、見た目の変化が表れてきます。
また体重に大きな変化がなくても、体脂肪は徐々に落ちていくでしょう。
体重の変化以上に、見た目で「痩せたね」と周囲から言われることが多いのです。
食事制限や有酸素運動でのダイエット行っては、リバウンドを繰り返していた人も少なくないですよね。そういったタイプの方には、こうした体重より体脂肪を気にするダイエットが合っているかもしれません。
食事制限や有酸素運動は、止めてしまえば当然リバウンドします。
しかし加圧のようなトレーニングで、インナーマッスルや大きな部分での筋肉を付けてしまえば、基礎代謝が上がりトレーニングの期間が少し開いてもリバウンドしにくい体になります。
ダイエット効果を高めるには･･･
加圧によるダイエット効果を高めるには、食事管理も重要なポイント。
運動後にはプロテインを摂取したり、その後の食事もたんぱく質と野菜を中心にしましょう。カロリーの高い食事をしてしまうと、トレーニングの効果が無駄になってしまいます。
かといって食べないのはNG！筋肉をつけるためには必要な栄養素はしっかり摂取して下さいね。
さらに、加圧後は成長ホルモンが分泌され脂肪が燃焼しやすい状態になっていますよね。
2時間程度はその状態が続くとされているので、ウォーキング等の有酸素運動をプラスするとダイエット効果が高まります。
女性用の加圧ジムには、ストレッチやエステがオプションとして用意されているので、こうしたメニューを追加するにもオススメです。
最後に加圧トレーニングの器具についてですが、ネットやオークションでも購入出来てしまいますが、まずは加圧ジムに通い指導員のもとでトレーニングを行うのが鉄則です。
加圧は時間制限がある点からもわかるように、圧や時間をきちんと把握していないと危険も伴うものです。初心者のうちは自宅でのトレーニングは控えた方が良いでしょう。
充分に慣れてからトレーナーにも相談の上、公式の器具を購入することをオススメします。
決して手頃な価格ではありませんが、最近は廉価版も販売されるようになっていますよ。
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