陳舜臣ってどんな人?その生涯は?性格を物語るエピソードや死因は?

出典:[amazon]文化の源流シルクロード

陳舜臣という作家をご存じですか?陳舜臣は惜しくも2015年に亡くなりましたが、中国を舞台にした歴史小説を中心に膨大な作品を世に残しました。今回は陳舜臣の生涯や性格を物語るエピソードをご紹介します。

陳舜臣の生涯


陳舜臣は大正時代に生まれ2015年に90歳で亡くなりました。ここではその生涯を追っていきます。

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誕生から大学時代

陳舜臣は1924年(大正13年)に神戸市元町で生まれました。貿易商であった両親が当時日本の植民地だった台湾なので、国籍は日本でした。少年時代の愛読書は江戸川乱歩だったといいます。第一神港高等学校を経て大阪外国語学校(現在の大阪大学)インド語学科に入学し、印度語とペルシア語を専攻します。一学年下には司馬遼太郎がいて、生涯の友となりました。大学時代はコナン・ドイルやチェスタトンを読み、ラシードウッディーンを中心に編纂されたイラン・イスラム世界とモンゴル帝国の記録である歴史書『集史』を愛読していたそうです。1943年には繰上げ卒業をして、附設の西亜細亜語研究所の助手としてインド語辞典の編纂作業などに従事しました。

終戦から作家活動へ

終戦にともない日本国籍を失い、中華民国の国籍となったため退職を余儀なくされます。陳舜臣は家業の貿易商に従事しながら、東洋史学者の宮崎市定の門弟に師事します。
1950年に結婚し、1957年頃から小説の習作を始め、1961年・37歳の時に処女作「枯草の根」で江戸川乱歩賞を受賞します。それから作家生活に入り『宝石』『講談倶楽部』『小説中央公論』などで作品を発表し、1969年に「青玉獅子香炉」で直木賞、1970年に「玉嶺よふたたび」「孔雀の道」で日本推理作家協会賞を受賞し、ミステリ作家として初の三冠王を達成しました。

日中国交回復から晩年

1972年に日中の国交が回復したため、中国各地やシルクロードなどを旅行し、中国の歴史を題材にした歴史小説、史伝、紀行文、中国の古典の翻案など数多く執筆します。日本における中国歴史小説の大家となった上に『中国の歴史』など一般向けの中国史の本も多くの読者に読まれました。1985年にはNHKのシルクロード関連の番組にも出演し、NHK文化放送賞も受賞しました。

陳舜臣が取り上げた歴史は中国だけでなく、インドのムガル帝国を舞台にした『インド三国志』やインド独立運動家チャンドラ・ボースを主人公にした『虹の舞台』、ペルシャの詩人ウマル・ハイヤームの詩集『ルバイヤード』の翻訳など多岐に渡ります。

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当時、陳舜臣は中華人民共和国の国籍でしたが、1989年の天安門事件を機に日本国籍となりました。1994年に脳内出血で倒れ5ヶ月間入院し退院。翌1995年には阪神淡路大震災に遭いますが被害は少なく、この年から『チンギス・ハーンの一族』を連載します。

その後も精力的に活動し陳舜臣アジア文藝館が2014年に神戸に開館しますが、2015年1月21日に老衰のため90歳で死去しました。

性格を物語るエピソード

ここでは陳舜臣の優しくて博識な人柄がわかるエピソードをお伝えします。

装幀を担当した原田維夫とのエピソード

陳舜臣の『小説十八史略』の装幀を担当した原田維夫は、装幀を担当してしばらくしてのち陳舜臣本人に会い、その時の印象がゆったりと落ち着いた中国の大人という雰囲気、フワッと暖かく包まれたような感覚があったといいます。
原田さんが「古代中国の資料がなく苦戦しています」と言うと「どこどこの〇〇書房に行くといいですよ」と優しく教えてくださったとのこと。優しい人柄を感じるエピソードです。

執筆に対する姿勢

陳舜臣の中国ものの集大成である「陳舜臣中国ライブラリー」には「自作の周辺」として執筆にまつわるエピソードをさまざまに語っているものがあります。その中で1975年頃は多くの著作を同時進行していたので、資料の読み込みが大変だったと後になって振り返っています。例えば「秘本三国志」の資料として「後漢書」「三国志」「資治通鑑」などを中国語で読んだそうで、原典や歴史書から自分の物語を紡いでいくストイックな姿勢が伺えます。

また「中国人の心の素材を知」りたいと思っていたことや、アーサー・ウェイリーが林則徐の日記を元に書いた「中国人の眼を通じた阿片戦争」を読んだことが、陳舜臣の「阿片戦争」を書こうとしたきっかけになったことも、陳舜臣自身の国籍をめぐるバックグラウンドが関わっていることへの想像がつきます。

まとめ

陳舜臣の生涯や人柄がわかるエピソードをご紹介しました。ひたむきに執筆に向き合う姿勢が数々の秀作を生み出したことが伺えますね。陳舜臣の作品は文章が平易で読みやすいと評判でもありますので、これを機に読んでみてはいかがでしょうか?

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>>陳舜臣の作品の特徴及び評価。おすすめ代表作7選

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