大庭みな子ってどんな人?その生涯は?結婚や子供は?性格を物語るエピソードや死因は?

出典:[amazon]性の幻想―大庭みな子対談集

大庭みな子は芥川賞受賞のデビュー作からはじまり、晩年は夫に支えられながら、数多くの作品を残した女流作家です。今回は大庭みな子の生涯や家族とのエピソードをご紹介します。

大庭みな子の生涯

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大庭みな子は戦時中に女学生時代を過ごし、晩年は脳梗塞で倒れてから夫との二人三脚で執筆をしていました。ここでは大庭みな子の生涯をみていきます。

誕生から戦争体験、そして大学卒業まで

大庭みな子は、本名は「美奈子」と書き、現在の東京都渋谷区で1930年(昭和5年)生まれました。父が海軍の軍医だったため、広島県呉市、愛知県豊川市、広島県東広島市など、海軍の要地を転勤で転々と移り住んでいました。

広島県の加茂高等女学校に在籍中の1945年8月末から、原爆投下後の広島市に救援隊として入り、その惨状に強い衝撃を受けたといいます。一方で、この時に見た悲惨な光景が大庭みち子の文学的原点となりました。

終戦後は、岩国高等女学校、新潟高等女学校、津田塾大学学芸学部英文科を卒業しました。

結婚から作家としての人生

大庭利雄と出会い、結婚。1959年から夫の都合でアラスカに移住します。1968年にアメリカの市民生活を描いたデビュー作『三匹の蟹』を発表し、群像新人文学賞と芥川賞を受賞しました。1970年に帰国した後も『がらくた博物館』で女流文学賞、1982年『寂兮寥兮(かたちもなく)』で谷崎潤一郎賞を受賞し、1986年には『啼く鳥の』で野間文芸賞、1991年『津田梅子』で読売文学賞、2003年『浦安うた日記』で紫式部文学賞を受賞するなどしました。

1987年から河野多惠子と共に、芥川賞初の女性選考委員となり1997年までつとめたほか、1991年には日本芸術院会員、日本ペンクラブの副会長や女流文学者会代表などを務め、フェミニズムに関しての対談集などでの発言も積極的にしていました。

病に倒れた晩年と夫との日々

精力的に数々の作品を発表していた大庭みな子でしたが、1996年に脳出血、その後脳梗塞で倒れ、左半身付随で車椅子生活になりました。夫の協力を得て、口述筆記で著述を行っていましたが、2007年に腎不全のため76歳で亡くなりました。

性格を物語るエピソード・夫と娘

ここでは大庭みな子の性格を物語る家族とのエピソードをご紹介します。

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大庭みな子を支え続けた夫・大庭利雄

大庭みな子が脳梗塞で倒れて半身不随となってから、執筆活動を支えたのが夫の大庭利雄でした。
夫婦として過ごした58年間を振り返った回想記「最後の桜」や介護日誌「終わりの蜜月」、みな子最後の作品となった「風紋」などから大庭夫婦ならではの様子が窺い知れます。

例えば、「貴方は女好きで博愛主義者だから他の女に手を出したら離れられなくなる。私は冷たくて情を移すようなことはないのだから一人の男に捉われてしまう心配はないの」だから「利雄が浮気すれば刺し殺す。しかし、みな子には自由を与えよ、という不平等条約にサインさせられる結果となった」とあったり、鋭い直感の持ち主だったと書かれています。

大庭利雄は、2019年9月に90歳で亡くなりました。「おかしなおかしな夫婦の話」では妻を無くした悲しみを「半身不在」だと表現しているように、夫婦の関係の深さが伺えます。

その他の大葉みち子を表すエピソード

『精選女性随筆集 宇野千代 大庭みな子』の中には「幸福な夫婦」として「いつでも離婚できる状態でありながら、離婚したくない状態である」など、大庭みな子の自由な結婚観が書かれています。

みち子が脳梗塞で倒れてから、リハビリセンターに入院した時のこと、ジグソーパズルや風船バレーボールなどに文句をつけ、リハビリをサボろうとしていたそうです。このことについて夫の利雄は、作家だけに、やりたくないことを正当に意味づけして拒絶するのが上手なんです(笑)」と語っています。

大庭みな子のひとり娘・大庭優

大庭みな子と娘の往復書簡である『郁る樹の詩(かおるきのうた)」という本があります。この本では60歳を過ぎたみな子と30歳を過ぎた娘とのやりとりが記されており、母と娘の関係が垣間見られます。みち子は執筆活動に専念したり、ひとり旅をしたりと活動的な母親だったそうですが、娘は反対に欲望を捨てるように、小さく収まっていた方がいいと決めるようになったなどの内容が、穏やかなやりとりで行われています。

まとめ

大庭みな子は女流作家として数々の作品を生み出し、脳梗塞で倒れた後も夫と共に執筆を続けました。夢と現実が入り混じったような独特の世界観の小説から、夫の口述筆記によって完成したものなどさまざまな作品がありますので、興味のあるものからチェックしてみてはいかがでしょうか。

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>>大庭みな子の作品の特徴及び評価。おすすめ代表作6選

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