前回の記事では血管壁にこびりついた脂やコレステロールを流してくれる良いコレステロールのお話しをしました。まだご覧になられていない方はこちらの記事をどうぞ!
「HDL(善玉)コレステロール「高い」「低い」基準値や増やす方法とは?」
これとは反対に誰もが想像するだろうというあの脂ギッシュなイメージが強い、LDL(悪玉)コレステロールです。年齢を重ねれば血管ももろくなるのでそれに従いLDL(悪玉)コレステロールの数値も高まるのはわかりますが、最近は若い世代でも他人事ではなくなってきています。
そこで、今回は、LDL(悪玉)コレステロールというものは実際にどういったものなのか?そして「高い」「低い」などの基準値や下げるための方法について解説させていただきたいと思います。
10代で動脈硬化!という事実を受け入れられますか?
特に、生活習慣病の恐ろしいところは「自覚症状がない。」ということです。今回のテーマである「LDLコレステロール」は動脈硬化の原因でもありますが、そもそも動脈硬化ってどれぐらいの年代から始まっているのでしょうか?
血管がもろくなったときに起こるものなので高齢者に多いのではないでしょうか?と思いますよね。実は違うんです。最近であれば、動脈硬化は10代からスタートし急激に血管が固くなり実年齢よりもはるかに老いた血管をされている方が増えているのです。
そして、30歳を過ぎたあたりから動脈硬化が完成され、「陰のスナイパー」がいきなり射殺!となるのです。つまりは、倒れるまで自覚症状が見られないので、ダイエットをされている方、健康そうな方、スポーツマンでもそれでお亡くなりになられるケースも珍しくはありません。
ですので、何がいいたいのか?といいますと、自分はいつもトレーニングをしているから健康体であるとか過信してはいけないということです。もちろん、運動は身体機能を高める手段の一つですので健康にもつながります。しかし、運動だけですと体の内部まで整えることはできません。
今の若い世代は、動脈年齢を加速してしまう、ファーストフードやインスタント食品を食べていることも多いです。高校のお昼食は?「コンビニのパン」「カップ麺」こんなのでは血管がどんどんもろくなっていきます。
動脈硬化とは名前の通り、動脈が固くなっていく病気です。そうなれば、血管が劣化しやすく、血圧が少し上がっただけで破裂するなどの血管事故を招いてしまいます。これはもはや爆弾を抱えているようなものです。
なので、一見しても健康体。そして、体の内部も健康に、血管が若々しく柔軟性を保つことができれいてば多少血圧が上昇したからといって破裂することもないのです。そもそも本来人はそうあるべき。そのためにLDL(悪玉)コレステロールや脂質を血管にためないということが重要になります。
LDL(悪玉)コレステロール「高い」「低い」基準値とは?
コレステロールには3つ(LDL、HDL、VLDL)の種類があります。この中でLDLというのは肝臓で合成されたコレステロールを体中の器官へ運搬する低比重リポたんぱくのことを指します。これが細胞に取り込まれるのであればまだ良いのですが、余ってしまったものは血管に点在するわけです。それが血管を詰まらせたり動脈硬化を招く引き金となります。
しかし、勘違いしてほしくないのは、LDLは決して悪ではないということです。悪玉とされていますが、医師の中ではこれを否定される先生もいらっしゃいます。その理由が、細胞にコレステロールを運搬するという重要な役目を担っているためです。
もちろん、多すぎるのはダメですが、なくなるというのも人間が生きてはいけないことなので多少は必要なものであることをご理解ください。
総コレステロール値よりもLDLコレステロール値
健康診断などで総コレステロール値をチェックすることがあります。
これが高いということは、HDLコレステロールが高いから血管の健康を保つとされているLDLコレステロールが正常もしくは多かったとしても脂質異常と診断されることもあります。
けれども、実際のところ、動脈硬化を促すのはLDLコレステロールになりますので、正確に脂質異常を判断するには総コレステロールではなくLDLコレステロールの数値を見る必要があります。
LDLコレステロールの計算式
総コレステロール-HDLコレステロール-(中性脂肪)÷5=LDLコレステロールという計算式が一般的には成り立ちますが、中性脂肪が400mg/dl以上のケースはこの計算式は対象外となります。
基準値は変更された?
通常であれば、LDLコレステロールの基準値は一般男女で60~139mg/dlになりますが、閉経後の女性の場合は70~159mg/dlと多少高めになっております。また、注意すべき数値としてはLDLコレステロール140mg/dl以上になりますが、これは総コレステロールの220mg/dlに匹敵するものと考えられます。
ところが、2014年4月4日に人間ドック学会が中性脂肪、LDLコレステロール値の正常値の変更を発表しました。それによりますと、これまでは、120mg/dl未満が理想的とされていたLDLコレステロール値が、男性は178mg/dl以下、女性は年齢を三段階に分けられ、31~45歳(61〜52mg/dl)、46〜65歳(73〜183mg/dl)、66〜80歳(190mg/dl)が正常なります。
LDLコレステロール値は当てにならない?
これに関しては、賛否両論ありますが、正直な話、この数値にしてしまったらほとんど動脈硬化の患者さんはいなくなってしまいます。しかし、これは1万人の健康な人の血液を採取して算出したデータだというのです。もちろん、これが正式に採用されるかはまだ決まっていません。
それに、日本動脈硬化学会、脂質栄養学会等の二つをみても推奨値が異なりますし、日本、米国、英国と諸外国を比べても数値は異なりますが、いえることは、これはあくまでも基準値を変えただでありまして、本当の患者さんが減るわけでもなんでもありません。
むしろ、この数値をいいことに、偏った生活を送っていても気にしなくなることで不健康な方々が増えるかも知れません。日本は長寿国というブランドに甘えて食事に気を使わなくなってから病人が増えたのと一緒です。
検査を行ってもほとんどは、178mg/dlなんて数字はありえないので、LDLコレステロールの数値だけで判断することはできなくなるでしょう。もちろん、本来はそうなのでしょうが今後はますますそうなるかと思います。
血圧、赤血球、白血球、ヘモグロビン、血小板、コレステロール、血中中性脂肪、血糖値、尿素窒素、クレアチニン、こういったものをトータルで見てどうなのか判断するのが血管の健康状態をしっかりと診断する基準としてみる必要がありそうですね。
実は低すぎるのもダメ
最低でも60mg/dl以上はあったほうが良いのが、LDLコレステロールです。先ほども少しお話ししましたが少なすぎても体に良いことだとはいえないのです。悪玉コレステロールが基準値よりも低下してしまうと、突然死や癌の危険性も懸念されます。
LDLコレステロールを下げる運動と食事
高すぎても低すぎてもダメなのがLDLコレステロール値です。正常な値を保つ必要があります。そこでまず、高すぎる人は「食事」と「運動」を取り入れて数値を徐々に下げていく必要があります。高すぎるには原因があります。
たとえば、動物性の脂質を取り過ぎていれば悪玉コレステロール値は上がります。
それ以外にも、ファーストフード、インスタント食品…色々と考えられますが、動物性の脂質や酸化している油を摂取している場合は気をつけないといけません。けれどもそれを良質な油に変えるだけで、血中の悪玉コレステロール値が下がり、善玉コレステロール値を上げることができるのです。
外での食事が多いのであれば、できるだけ自炊を行い、不飽和脂肪酸(DHP・EPA)などがたくさん含まれている青魚を積極的に食べるとか、油を使うのであれば、リノール酸、リノレン酸のバランスが比較的良いアマニ油を使用する、加熱するならオリーブオイルを使用する、外食へ行く場合サラダのドレッシングはこういった油を持参するなど健康づくりには工夫が必要です。
理想的なのは、人間の細胞膜と同じ比率のリノレン酸:リノール酸=1:4ですが一般的にその油は販売されていませんので気になる方はお問い合わせください。このように、食生活を変えていけばLDLコレステロール値も自然と下がっていきます。
さらに、ウォーキング、ランニング、自転車、水泳などの有酸素運動を定期的に行いましょう。できれば週3~4回、1日40分以上行うと良いです。運動が苦手だという人であれば、ジムのプールで歩くだけでも良いし、公園を散歩するのでも良いです。とにかく一定の時間続けていくことがLDLコレステロール値を下げることにもなりますしダイエットにもつながります。
結局、コレステロール値のバランスを整えて健康になれば血流も良くなりますのでダイエット体質を作ることができるのです。健康的に痩せるという意味でも食事の改善は重要になります。逆に、LDLコレステロール値が少ない場合は、卵、お肉などの食品を多少増やしてみましょう。
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