ポール・ドハティのプロフィール。経歴は?結婚している?作品の特徴や代表作おすすめ5選

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イギリスの歴史ミステリー作家として知られているポール・ドハティ(1946-)。イギリス本国では、歴史ミステリー御三家の一人に数えられるほど有名で、日本でも歴史ミステリー愛好家から絶賛されている作家です。
日本では早川書房や東京創元社からドハティの訳本が5冊出ており、続編の訳本を渇望する声も大きいと言います。
そんな日本人ファンも多いドハティですが、彼の経歴やプロフィールなどは英語版のものしかまだありません。

今回は、ポール・ドハティについて、プロフィールはもちろん、経歴や結婚歴、代表作品に至るまで詳しく解説していきます。

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ポール・ドハティのプロフィール

ポール・ドハティは、100冊を超える歴史本や歴史ミステリー本を出している作家です。元々歴史に非常に強い興味を持っていたドハティは、「歴史に生を与える」ことを使命とし、活動しています。

生まれと教育

ドハティは、1946年9月21日、イギリス北ヨークシャー州に位置するミドルズブラに生まれました。
カトリックの司祭になるために神学校に3年間通ったものの、それは本人が望む道ではありませんでした。
神学校を卒業した後、リバプール大学に進学し、歴史学において主席の成績を修め、卒業しました。さらに、エクセター・カレッジ(オックスフォード大学)に進んだドハティは、エドワード二世に関する論文で博士号を取得します。

大学には残らず講師の道へ

博士号を取得したドハティは、一時は大学に残って研究することも考えました。
しかし、研究者の道がどうにも向いていないと悟ったドハティは、高校の歴史教師として働き始めました。同時に、各地で歴史や歴史ミステリーに関する講演をして回りました。

歴史をただ研究するだけではなく、その歴史に生を与え、今に伝える役目に生き甲斐を感じたと言います。史実と交えて、当時のミステリーや怪異現象、ちょっとしたゴシップを混ぜた楽しい講義は聴衆の心を掴みました。そして、この時に話した内容は後の作家活動の下地にもなったそうです。

35歳になったドハティは、ロンドンにある聖トリニティ高校の校長に抜擢され、20年以上その地位を保っています。
今では、聖トリニティ高校の名物校長として生徒たちからも親しまれているようです。

作家として

ドハティは100冊を超える本を書いているということもあり、作家活動はかなり早い時期から行われていたのではないかと思われやすいのですが、最初に出版したのはなんと39歳の時です。“The Death of a King”(「王の死」)というタイトルの長編ものがデビュー作となりました。こちらは、残念ながらまだ訳本は出ていません。

1年間で約3冊も執筆するハイペースな執筆活動は今なお衰えるところを知りません。
確かな歴史事実の上で繰り広げられる巧妙なミステリーとそれを支える個性豊かな登場人物たちの織り成す物語は、ファンタジーとも違うドキドキ感がたまらないといった定評があります。

ドハティは、歴史研究と歴史伝聞の功績、作家としての活動が評価され、2011年に大英帝国勲章OBEを受章しました。

結婚と家族

ドハティは、オックスフォード在学中にカーラと出会い、結婚に至りました。
二人の間にはなんと7人もの子供がおり、全員とも父が校長を務める聖トリニティ高校を卒業したそうです。
カーラ夫人とは残念ながら2016年に死別しており、ドハティは現在独身のようです。

ポール・ドハティの作品の特徴

ドハティの作品ジャンルは歴史ミステリーです。
歴史に関するものであれば、フィクションもノンフィクションも書きます。

時代も特定のものに限らず、中世のイギリスを舞台にしたものもあれば、古代ギリシャ、古代エジプトを舞台にしたものもあります。

どの時代も確かな知識に裏付けされたもので、ドハティの歴史学者としての威厳を見せつけられます。

ドハティはシリーズものを好んで書いており、中でも「密偵ヒュー・コーベット」シリーズ、「修道士アセルスタン」シリーズ、「ロジャー・シャーロット」シリーズは人気が高いです。

いずれのシリーズも、クセのある登場人物が知恵と勇気を駆使し、謎や難題に挑戦していくというものです。
ハードボイルドの一面も見られることはありますが、話の中心は歴史とそれにまつわるミステリーです。
一つの事件がきっかけで国家大転覆の陰謀が明かされそうになったり、国家危機に瀕したりと、なかなかスケールの大きい話に繋げていくのがドハティの手法でもあります。

歴史面での描写は実に細かく、詳細まではっきり再現されているので、歴史家からの評価は実に高いものになっています。

ポール・ドハティおすすめの代表作5選

ドハティの作品は現在までにまだ5作品しか翻訳されていません。
今回はその5作品をご紹介します。

「白薔薇と鎖」(1991)

「白薔薇と鎖」は2006年に早川書房からポケミスとして刊行されました。訳は和爾桃子さんが担当されました。

齢90歳にして、食にも性にも貪欲なロジャー・シャーロット翁が若い頃の冒険話を語るという設定で話が展開されていきます。
愉快なお爺ちゃんの様を表現するためか、一人称は「わし(わしゃ)」、語尾は「~じゃ」を多用し、実にリズミカルに文章が仕上げられています。喜劇調の文体も面白く、内容と相まって、コメディ要素が強く出ているのもこの作品の特徴です。

ロンドン塔に幽閉されていた医師が何者かに毒を盛られて死んだ事件を巡り、ウルジー枢機卿の甥であるベンジャミン・ドーンビーとその従者ロジャー・シャーロットが事件解明に奔走する。
事件の謎は国家の命運も揺るがしかねないもので……。

時代はヘンリー八世の統治時代。ばら戦争後の話で、物語にはばら戦争の残党が大いに絡んできます。また、作品にはうら若きシェイクスピアを始め、ヘンリー八世の娘で、「処女女王」の愛称でも知られるエリザベス王女も顔を出します。誰もが知っている著名人を面白可笑しくこき下ろしているところにドハティのお茶目さを見つけられることでしょう。

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「教会の悪魔」(1986)

「教会の悪魔」は2008年に早川書房からポケミスとして刊行されました。訳は「白薔薇と鎖」と同じく和爾桃子さんが担当されました。

今作品は、「密偵ヒュー・コーベット」シリーズの第一弾でもあります。
「白薔薇と鎖」の主人公ロジャー・シャーロットはおどけ者でしたが、今回の主人公であるヒュー・コーベットは切れ者の国王書記官であり、対称的な人物像になっています。そのためか、訳も「白薔薇と鎖」の時のような楽しさはなく、冷静な語り口で綴られています。

妹に言い寄った男に激怒した兄は、怒りから相手を殺してしまう。罪の意識に苛まされた彼は教会へと逃げ込み、密室空間の中で自害したという。自殺で済まされそうなこの事件に、何か裏があるのではないかと思った国王は絶対の信頼を置く書記官ヒュー・コーベットを密偵として現場に送り込んだ。コーベットはすぐに他殺と見抜くも、その裏ですでに国家的な大陰謀が動き出していることはまだ知らずにいた……。

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このシリーズは全部で17作品発表されています。いずれも中世英国で流行っていたオカルト的な面が事件に深く関係しており、どこかディクスン・カーを彷彿とさせるミステリーが堪能できる作品になっています。

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「毒杯の囀り(どくはいのさえずり)」(1991)

「毒杯の囀り」は2006年に東京創元社から刊行されました。訳は古賀弥生さん、大津波悦子さんが担当されました。

今作品は「修道士アセルスタン」シリーズの第一弾でもあります。
お酒が大好きなクランストン検視官とその書記であるアセルスタン修道士がコンビを組んで、奇妙な事件解決に乗り出していきます。

裕福な貿易商であるスプリンガル卿が自室で毒殺される。
卿の部屋の外の廊下は、人が通れば必ず「歌う」といわれるもので、人が通ったかどうかはすぐに分かる仕掛けになっていた。そして、事件直前にその廊下を歩いたのは執事だけだったはず。しかし、その執事も屋根裏部屋で変死体となって横たわっていったのだ……。

「修道士アセルスタン」シリーズは全11作品で、そのうちの3作品がすでに翻訳され、東京創元社から刊行されています。
シリーズものを一気に読み進めたいという方は、「白薔薇の鎖」や「教会の悪魔」よりも「毒杯の囀り」、「赤き死の訪れ」、「神の家の災い」をお勧めします。

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「赤き死の訪れ」(1992)

「赤き死の訪れ」は2007年に東京創元社から刊行されました。訳は古賀弥生さん、千街晶之さんが担当されました。

今作品は「修道士アセルスタン」シリーズ第二弾です。
全作品「毒杯の囀り」よりもより本格的なミステリーが楽しめる作品になっています。

クリスマスを目前に控えた極寒のロンドンを舞台に、連続不審死事件が起きていた。
最初の犠牲者は、ロンドン塔の城守であるホイットン卿。彼は数日前に奇妙な手紙を受け取り、それ以来何かに怯えたようであったという。その後の犠牲者たちも手紙を受け取った数日後に何者かによって殺されていた。姿なき殺人犯を前に、クランストンとアセルスタンのコンビは苦戦を強いられてしまう……。

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「神の家の災い」(1992)

「神の家の災い」は2008年に東京創元社から刊行されました。訳は古賀弥生さん、古山裕樹さんが担当されました。

今作品は「修道士アセルスタン」シリーズの第三弾です。
歴史面はもちろん、ミステリー面もより複雑に絡み合う今作品は、本格ミステリー派からも好評だった作品です。

とあるパーティーの席で、四人の人間を殺した<緋色の部屋>の謎を解かされることになるクランストンとアセルスタン。その頃、アセルスタンの教会では改修中の教会から見つかった人骨に奇跡の治癒効果があると噂になっていた。そんな折、かつてアセルスタンが在籍していた教会で連続殺人事件が起きてしまう。
三つの謎の同時解明に乗り出す二人。アセルスタンの過去も明らかに……。

トリックが多く見られる今作品には、シャーロック・ホームズネタも含まれるなど、ミステリー好きにはたまらない作品に仕上がっています。徐々にクランストンやアセルスタンの過去が明らかになっていく過程も見逃せません。

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まとめ

イギリスが誇る歴史ミステリー作家ポール・ドハティについて解説してきました。
日本ではまだ5冊しか翻訳されておらず、その続編を楽しみにしている声も多く聞きます。
歴史研究家としての知識を存分に発揮した作品は、まさに「息を吹き返した歴史」という印象を持ちます。これほどまでに生々しく時代を感じられる作品は他にないでしょう。
歴史好きな方。中世イギリス史が好きな方、ぜひ一度ドハティ・ワールドに足を踏み入れてはいかがでしょうか。

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