辻村深月ってどんな人?経歴は?結婚してる?作品の特徴や代表作おすすめ8選

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『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞し、作家デビューを果たした辻村深月。爽やかな文体と、人間の心の機微を巧みに表現する作風が幅広い読者層の心を掴み、辻村美月は、現在もっとも人気のある作家の一人と評価されています。

また、2012年には弱冠32歳という若さで直木賞を受賞したことからも、その類い稀な文才がうかがえます。『ツナグ』や『凍りくじら』など、ヒット作を量産する辻村深月とは一体どのような人物なのでしょうか。今回は辻村深月の人柄や経歴、おすすめ代表作をまとめて紹介します。

辻村深月の経歴は?

辻村深月の経歴について簡単に紹介します。インタビュー記事などを読んでみると、青春時代は周囲の環境に違和感を抱くことが多かったようです。しかし「周囲とどこか違う感覚」こそが、作品を生み出す原動力になっているのかもしれません。

生い立ち

辻村深月(本名不明)は1980年、山梨県笛吹市に生まれました。公務員の両親のもとで、地元笛吹市の小学校・中学校に通います。幼い頃から読書に没頭した辻村は、「シャーロック・ホームズ」や「少年探偵団」、「ズッコケ3人組」などのいわゆるジュブナイル作品を読み漁っていました。

しかしそんな辻村ですが、小学校3年の時に読んだ小野不由美の「悪霊シリーズ」(ゴースト・ハントとも)に衝撃を受け、自身も小説を書き始めます。周りの生徒が「恋愛物語」で盛り上がる中、辻村はノート数冊に及ぶほどのホラー小説を書く生徒だったそうです。それくらい小野不由美の印象が強かったのですね。

小学校6年の時には、ミステリー小説家・綾辻行人(小野不由美の夫)の『十角館の殺人』(館シリーズ)を読み、これにも衝撃を受けた辻村は、以降、綾辻行人の大ファンとなります。辻村の人生に大きな影響を与えた人物が夫婦であるのは、何だか不思議な縁を感じてしまいますね。

高校卒業後、「ミステリー研究会がある」という理由で千葉大学教育学部に進学。大学卒業後は、甲府の県庁事務局で団体職員として勤めています。社会人時代も小説を書き続けていた辻村は、平日夜と土日だけで月に100枚程度の原稿を書き、作家の道も模索していました。

作家デビュー

大学卒業後は、社会人として県庁に勤務する傍ら、大学時代に書き上げた『冷たい校舎の時は止まる』を講談社メフィストに応募。この作品が第31回メフィスト賞を受賞し、辻村は24歳で作家デビューとなりました。2008年におよそ6年勤めた団体職員を退職し、専業作家の道をスタート。その後も次々と作品を発表し、2012年に直木賞受賞、2018年には本屋大賞を受賞するなど、今もっとも人気のある作家として幅広い層の読者に親しまれています。

熱すぎる綾辻行人愛

小学校6年で出会った綾辻行人作品に衝撃を受けた辻村は、それからというもの辻村作品を読み漁ります。その熱量は凄まじく、「綾辻行人に一言メッセージを送る」という雑誌の企画で、辻村は100枚のハガキを送り、見事読者プレゼントを手に入れています。
ちなみに辻村の「辻」の字は綾辻行人から取られており、メフィスト賞受賞の連絡も綾辻行人本人からの連絡だったそうです。

作品の特徴について

辻村美月は、初期のミステリー作品から、人間の内情を深く描くヒューマンドラマまで幅広い分野で定評があります。とくに若者が抱く思春期独特の心の機微や、悲劇的な人物背景の中でも、最後には温かいラストを迎える作風は、辻村作品の大きな特徴といえるでしょう。
また、個別の作品がお互いに繋がっているという点も辻村作品の面白さの一つです。作品を読んでいると「あっ、この登場人物、こっちの作品にも出ている」といった意外な接点も描かれていますので、注意しながら読むことをオススメします。

結婚してる?

人気作家・辻村深月が結婚しているか気になるところです。そこで調べたところ、2008年頃に一般男性と結婚し、2011年に長男を授かっています。その数年後には長女を出産したそうです。現在の詳しい状況はわかりませんでしたが、林真理子との対談を読む限りでは、幸せな結婚生活を送っているのではと考えられます。

おもな受賞歴

若くして直木賞を受賞した辻村深月ですが、直木賞以外にも多くの賞を受賞しています。ここではおもな受賞歴と受賞作品を解説します。

2004年『冷たい校舎の時は止まる』・・・第31回メフィスト賞
2011年『ツナグ』・・・第32回吉川英治新人文学賞
2012年『鍵のない夢を見る』・・・第147回直木賞
2018年『かがみの孤城』・・・第15回本屋大賞

なお、直木賞は3度目のノミネートで受賞となりました。

読む順にも着目

辻村作品の特徴として有名なのが、上述の通り作品のリンク率です。実は辻村作品をより楽しむためには「読む順番」があるそうで、『スロウハイツの神様』の帯には読む順番のオススメが記されています。以下の順番で読むとよいそうなので、参考になさってください。

『凍りのクジラ』→『スロウハイツの神様』→『冷たい校舎の時は止まる』→『子どもたちは夜と遊ぶ』→『ぼくのメジャースプーン』→『名前探しの放課後』→『ロードムービー』→『光待つ場所へ』→『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ』の順。

辻村深月のおすすめ代表作8選

『冷たい校舎の時は止まる』でのデビュー以来、次々と話題作を発表している辻村深月。まだ読んだことがない方にとっては、どれから読んだら良いのか迷ってしまうのではないかと思います。そこで以下では、多数の辻村作品の中から厳選9作品を紹介します。

ツナグ

2010年に刊行された短編連作小説です。この作品により辻村は第32回吉川英治新人文学賞を受賞しています。2012年には俳優・松坂桃李主演により映画化もされました。

一生に一度、死者に会うことができるというストーリー。
17歳の主人公・渋谷歩美は、祖母アイ子から、死者と現生を結びつける「ツナグ」という使者の役割を引き継ぐよう懇願されます。そして歩実はまずは使者見習いとして死者と依頼者の仲介役から始めることに・・・。「ツナグ」の使命を背負った歩美が体験する、死者との心温まるストーリーが魅力です。

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冷たい校舎の時は止まる

第31回メフィスト賞を受賞した作品であり、辻村美月のデビュー作です。執筆開始はなんと高校3年からだったらしく、辻村いわく「受験勉強から逃げるため」に気分転換で書き始めたとのこと。しかし友人からは「続きを読みたい」と好評だったようです。

大学受験を控える8人の受験生。雪の降りしきるなか、彼らは何らかの力により校舎に閉じ込められることに・・・。やがて8人は、学園祭で自殺したクラスメイトのことを思い出しますが、誰一人その人物のことを思い出せません。そんな中、一同は学園の時計が5時53分で止まっていることに気がつきます。果たして、自殺したクラスメートの謎とは。

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かがみの孤城

2017年に出版され、2018年に本屋大賞を受賞した作品です。書店でも並べられていたので、読まれた方も多いのではないでしょうか。累計発行部数100万部を突破したベストセラーであり、ファン投票でも必ず上位に挙がる作品です。
作者自身もインタビュー内で「もしもタイムマシンであの頃(10代)の自分に1冊だけ自分の小説を渡せるなら、この『かがみの孤城』を渡したい」と語っています。

同級生によるイジメが原因で不登校となってしまった、中学一年生の主人公・こころ。心の傷が原因でフリースクールにも通えない状態となったこころは、一人家に引き篭もる生活を続けています。しかしそんなある日、部屋の鏡が突然光りだし、手を伸ばして進んだ先には別の世界が広がっているのでした・・・。思春期をはるかに通り越した大人にこそ読んでほしい1冊です。

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子どもたちは夜と遊ぶ

青春の葛藤や孤独、人間の温かみなどで定評のある辻村ですが、本書はそんなイメージを覆す「殺人ゲーム」をテーマとした作品です。デビュー2作目ですが、本作はデビュー作『冷たい校舎の時は止まる』以前から執筆が開始されていました。

一人の高校生の行方不明から一連の「殺人ゲーム」が始まります。殺人ゲームの主催者である謎の人物「i」。一方、「i」を自分の兄と確信し、ゲームに参加する主人公・木村浅葱(あさぎ)。しかし残酷な状況が続く中、浅葱の心は徐々に疲弊していきます。「殺人ゲームが終わったら会おう」という言葉を残した「i」との結末は・・・。

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スロウハイツの神様

手塚治虫や藤子不二雄作品の大ファンとして知られる、辻村深月の現代版「トキワ壮」を描いた作品です。新人脚本家・赤羽環の誘いでアパート「スロウハイツ」に入居することになった元人気作家のチヨダ・コーキ。「スロウハイツ」には小説家、脚本家、映画監督、児童文学者を目指す青年など、個性豊かなメンバーばかり。

全編を通して青春小説的作品ですが、最終章の伏線回収に感動間違いなしです。

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ロードムービー

2008年に刊行された、辻村深月初の短編集です。本作はデビュー作『冷たい校舎の時は止まる』のスピンオフであり、5編の作品が収録されています。本編未読でも作品を楽しめますが、より一層楽しむために、本編の一読をオススメします。10代の頃に経験する葛藤や苦悩、恋愛などさまざまなテーマの作品が収められていますので、強く共感できる作品がきっと見つかることでしょう。

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ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。

2009年に発表された作品です。第142回直木賞候補、第31回吉川英治新人文学賞候補にノミネートされています。講談社創業100周年を記念する企画「書き下ろし100冊」の1冊として執筆されました。本作は「女性の格差」をテーマとしており、現代社会の風潮に苦しむ女性の姿が鮮明に描かれています。

母親を殺害し逃亡するチエミ。そして失踪したチエミの後を追う、幼馴染・みずほの二人の物語です。二人を取り巻く環境に一体何があったのか・・・。物語が進むにつれ、徐々に現代社会の闇が浮き彫りとなっていきます。タイトルの「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」の意味とは。

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鍵のない夢を見る

第147回直木賞受賞作品です。「仁志野町の泥棒」「石蕗南地区の放火」「宮弥谷(みやたに)団地の逃亡者」「芹葉(せりば)大学の夢と殺人」「君本家の誘拐」の全5編が収録されています。2013年にはテレビドラマ化。「何気ない日常から生まれる犯罪」をテーマとした本作は、人間が日頃隠している「小さな狂気」を見事に描いています。ふとしたきっかけと、小さな動機で狂い始める人生の先には、思いもよらない結末が待ち構えているのでした。

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まとめ

いかがでしたか?。今回は辻村深月の経歴やおすすめ代表作について紹介しました。本記事で解説した作品はどれも人気作ばかりなので、もうすでに読まれた方も多いと思います。
辻村深月の作品を読むと、筆者が思春期時代に抱いた葛藤や、やるせない気持ちが蘇ってくるようです。切ないストーリーでありながら、最後には温かく物語が終わるのも、辻村深月の作品が多くの人に支持される理由かもしれません。これからも素敵な物語を届けてくれるであろう、辻村深月に今後も目が離せません。

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