オットリーノ・レスピーギの作品の特徴及び評価。おすすめ代表曲3選

出典:[amazon]Concerto Gregoriano / Poema Autunnale

オットリーノ・レスピーギ(1979-1936)という作曲家の名を知っていても、彼の作品を3作品以上挙げられる人はそうそういません。

「オットリーノ・レスピーギ」の名を聞いて、まず頭に思い浮かぶのはどの曲でしょう。比較的有名な<<ローマ三部作>>を思い起こす人が多いのではないでしょうか。

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今回は、オットリーノ・レスピーギが<<ローマ三部作>>以外にどんな曲を残したのかについても触れつつ、レスピーギ作品の特徴や評価についても解説してきます。

レスピーギの作風

レスピーギの作品を耳にして誰もが感じるのはその「叙情性」でしょう。
色彩豊かに表現される甘く美しいメロディは、これまでの華やかな美しい音楽を結集させた完成品、そんなイメージを与えます。

レスピーギに多大な影響を与えた人物

レスピーギは、音楽学校を卒業した後、ヴィオラ奏者としてロシアで活躍していました。

作曲家としての勉強は、専門であるヴィオラ奏法、ヴァイオリン奏法の授業の傍ら細々と行っていました。

ロシアでヴィオラ奏者として活動する中で、レスピーギはロシアが誇る作曲家リムスキー=コルサコフと知り合う機会を得ます。
そして、レスピーギはこの偉大な作曲家に作曲家になるためにはどうすれば良いか相談し、自分の作品についても意見を仰ぎました。

レスピーギがロシアにいた年月は1年と短かったものの、その間レスピーギはリムスキー=コルサコフの弟子となり、作曲勉強に打ち込みました。
このことはその後のレスピーギの作品に大きな影響を与えたことはいうまでもありません。

リムスキー=コルサコフ風な作調は、レスピーギ作品の大部分に見て取れます。
それゆえ、レスピーギの作品をリムスキー=コルサコフの真似ものと評価しない人が一部いたのも事実です。

融合を得意とする作曲家

レスピーギは、ロシアから帰国後、作曲の勉強をやり直し、学位取得に至っています。しかし、レスピーギにはモーツァルトやベートーヴェンなどに見られる天才性と個性はなかったようです。

作曲の論理と過去作品の研究に裏打ちされた知識を元に作曲に臨んでいたこともあり、過去作品の良い部分同士を組み合わせたものや、有名作曲家の作品を自分なりの解釈も加え叙情的に表現し直し、組み合わせることを得意としました。

そのため、レスピーギ作品にはフランスの印象主義音楽からの和声が多く見られたり、その一方でドイツ的な構成が見られたりと、従来の音楽理論では考えられなかった自由な組み合わせへの挑戦が多く見られます。

レスピーギの評価

レスピーギは弦楽奏者として長いこと活躍していたこともあり、作曲家として日の目を見たのは30を過ぎてからでした。
遅咲きの作曲家は31で作曲家としての名声を得、これからという時に70手前でこの世を去りました。
そのため、レスピーギの音楽はまだ不完全な部分が多いとも言われています。

劇的よりも叙情的な音楽

レスピーギの音楽は、どれをとっても叙情的な音楽に仕上げられています。
ドラマティックな演出や音の動きを避け、ある意味で平坦な音の移り変わりを楽しむスタイルがレスピーギの作品スタイルと言えるでしょう。

「美しい」という印象は聴く者全員が抱きますが、「美しい以上の何か」がないのもレスピーギの音楽の特徴です。これは、レスピーギが最終的に行き着いたであろう己の音楽に至る前に死去してしまったことが原因であるという見方が強いです。

レスピーギは叙情性を追究するあまり、音楽のドラマを見失っているとも言われています。

どこかで聴いたような音楽が延々と繰り返されるレスピーギ音楽は飽きやすい音楽と言われる一方、音楽そのものの主張がなくうるさくないのでBGMなどには最適だと評価されることがあります。

本当の「レスピーギの音楽」が見られない

レスピーギは融合を得意としていた反面、自分らしさ、あるいは自分の音楽というものをさらけ出さずに作曲家人生に幕を閉じました。

あえて自分の音楽を表現しなかったのか、あえて昔の良い音楽だけを組み合わせることを使命としていたのかについてはもはや知ることはできません。
しかし、多くの作曲家たちが先輩作曲家たちの音楽を学び、踏襲し、打破し、自分なりの音楽を紡ぎだしたのに対し、あまりに異例な作風だと言わざるを得ないでしょう。

評論家の批評中には、「レスピーギ音楽には革新性がない」とバッサリ切り捨てているものも多く散見できます。

ただし、レスピーギの古代音楽、古代楽器への熱心な研究は高く評価されており、そこから20世紀イタリア器楽ルネサンスの代表的な作曲家の一人に挙げられています。

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レスピーギのおすすめ代表曲3選

ここでは特に知られているレスピーギの代表的な曲を3曲ご紹介します。

<<ローマ三部作>>より<<ローマの松>>(1923)

レスピーギの代表作ともいえる交響詩<<ローマ三部作>>の中でも特に知られているのが第二部の<<ローマの松>>です。

メロディが様々な場面で用いられていることもこの曲を有名にしている一因ですが、ディズニーの「ファンタジア2000」という映画で<<ローマの松>>が用いられたことで、日本ではとても有名な曲の一つになりました。

<<ローマ三部作>>の第一部は<<ローマの噴水>>(1914-1916)、第二部が<<ローマの松>>、第三部が<<ローマの祭り>>(1928)となっており、それぞれ4部で構成されていて、各々に表題も付けられています。

因みに<<ローマの松>>の表題は第一部が「ボルゲーゼ荘の松」、第二部が「カタコンバの松」、第三部が「ジャニコロの松」、第四部が「アッピア街道の松」となっており、この中では第四部の「アッピア街道の松」が最も有名です。

<<リュートのための古風な舞曲とアリア>>第3組曲より<<シチリア>> (1932)

<<リュートのための古風な舞曲とアリア>>もレスピーギが熱心に古代ローマ時代の音楽、歴史などを調べていたころに作られました。

この中でも特に有名なのは第3組曲で、コンサートなどでもよく取り上げられます。

日本においてはこの第3組曲の3番目の曲<<シチリアーナ>が有名です。

実はかつてテレビのCMで使われたのですが、演奏者のつのだたかしさんのリュート演奏が実に甘美だったため、「一体あのBGMは何なのか?誰のどの曲なのか知りたい!」といった依頼が殺到したそうです。

そして、急遽そのソロアルバムまで作られるなど、一時期センセーションを巻き起こしたほどなのです。

曲名までは知らずとも、耳にすれば「ああ!これか!」と認識される方も多いことでしょう。

<<教会のステンドグラス>>より第2楽章(1925)

<<教会のステンドグラス>>は、もともと1919年に作曲したピアノ曲<<グレゴリオ聖歌による3つの前奏曲>>を管弦楽曲用にアレンジしたもので、さらに終曲が加わり4楽章で構成されています。

その中でも特に有名なのが第2楽章の「大天使ミカエル」です。
天使とサタンの激しい戦いを描写した作品で、レスピーギの管弦楽曲テクニックが余すところなく生かされた作品だと言われています。

また、比較的穏やかな音楽が多いレスピーギですが、この作品に関しては題材が題材なだけに、比較的ドラマティックな音楽が聴けるのも魅力の一つです。

まとめ

オットリーノ・レスピーギの作品について、作風や評価、代表作を見てきました。

色々な作品の融合を得意としていただけあって、レスピーギ音楽はどこか既聴感が強い印象があります。

レスピーギの作品があまり聴かれないのも、レスピーギ音楽に「おお!」と思わせる新しい何かがないからなのかもしれません。

ただ、ドラマ性がない分、聴きやすいともいえるので、仕事や勉強のBGMに何か欲しいという時には大変おすすめです。

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>>オットリーノ・レスピーギってどんな人?その生涯は?性格を物語るエピソードや死因は?

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