リヒャルト・ゲオルク・シュトラウス交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」の解説・分析。楽曲構成や聴きどころは?

出典:[amazon]R.シュトラウス:英雄の生涯

今回は、バイエルン王国(ドイツ)のミュンヘンにて生まれた後期ロマン派を代表とするリヒャルト・ゲオルク・シュトラウス(1864~1949)(以下シュトラウス)の代表作である交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」について解説・分析や楽曲構成、聴きどころについてまとめさせていただきます。この作品は、スタンリー・キューブリック監督の映画「2001年宇宙の旅」の冒頭部分が使われていたため聴いたことがある人も多いかと思います。しかし、使われていたのは冒頭部分だけのためその後を聴いたことがない人もいるかと思います。ぜひ、この記事を見た後に全曲聴いてみてください!

解説・分析

まず、この作品のタイトルである「ツァラトゥストラはかく語り」。このツァラトゥストラというのはニーチェの哲学書の中から取られています。またツァラトゥストラはゾロアスター教の開祖と言われている伝説の人物です。そのためこの作品は「ニーチェの超人思想を表現した作品」と言われています。

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・序奏

この作品の主題と言われるフレーズがあり「ドーソードー」と演奏されるこのフレーズは「自然のテーマ」と呼ばれています。主題ということもありこのフレーズは曲中にたびたび登場します。この序奏は「夜明け」を思わせる部分です。この序奏の後に8つの情景が演奏されます。

・後の世の人々について

「あこがれのテーマ」と呼ばれているフレーズがファゴットなどの楽器に登場した後に出てくるホルンのテーマは、グレゴリオ聖歌の中の「グレド(われ唯一の神を信ず)」に由来しているそうです。そしてパートは弦楽器に移り、美しい響きが広がります。

・大いなる憧れについて

先程でてきた「あこがれのテーマ」が変形されて出てきます。それにプラスして木管による「自然のテーマ」が絡み合います。段々と気持ちが高まり最高潮に達したところでハープによる下降のグリッサンドで次の場面に移ります。

・歓喜と情熱について

タイトルの通り、情熱的な展開が続きます。しかし、クライマックスに向かう途中でトロンボーンがこの流れに反するように「嫌悪なテーマ」が強く出てきて次の場面を思わせます。

・埋葬の歌

先程とは打って変わって段々と静まり返り、オーボエが嘆くように「埋葬の歌」を演奏します。上に向かおうとする「あこがれのテーマ」と共に下向きの音が絡み合いながら静かに沈んでいきます。

・科学について

ここに来て初めて科学的な形式としてフーガが用いられています。しばらくすると今までの沈んでいる雰囲気とは打って変わって弦楽器とフルートによる明るく流れる新しいテーマが出てきます。その後、「自然のテーマ」と「嫌悪なテーマ」が木管楽器によって再び絡み合ってきます。

・病より癒えゆく者

トロンボーンにより先程のフーガのテーマが提示されます。実はこのフーガは「自然のテーマ」とほとんど同じです。ここから先はソナタ形式でいう「再現部」に当たります。しばらくすると、トランペットによる信号のような「ド・ド・ド・ドー」というフレーズが出てきます。このフレーズが「嫌悪なテーマ」と絡み合いながら段々と色彩的に変化していきます。

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・舞踏の歌

雰囲気が一変して、独奏ヴァイオリンによる軽快なワルツに変わります。また、新しく出てくるホルンの「夜の歌」と言われる主題やこれまで沢山出てきた主題が融合しながら最後に向けて華やかさを増していきます。

夜のさすらい人の歌

先程の華やかさを頂点に、鐘の音が鳴り響きます。段々とゆっくりとなりロ長調とハ長調の2つが混在した状態で終わりを迎えます。簡単に言えば、完結せずに終わります。この終わり方には賛否両論あったそうですが、シュトラウスの意図としては「人間と自然の対立が永遠に続くことを示している」そうです。

楽曲構成

先程も述べたようにこの作品は序奏と8つの場面、合わせて9つに分かれています。8つの場面というのは、

  1. 後の世の人々について
  2. 覆いなるあこがれについて
  3. 歓喜と情熱について
  4. 埋葬の歌
  5. 科学について
  6. 病より癒えゆく者
  7. 舞踏の歌
  8. 夜のさすらい人の歌

聴きどころ

聴きどころは何といっても様々な種類のテーマです。この作品には沢山のテーマが出てきます。また面白いことにそのテーマが至る所に出てきたり他のテーマと組み合わさったりしているところがこの作品の1番の魅力であり聴きどころであると思います。ただテーマを出しているだけではなく次の雰囲気を思わせるような使い方もしています。沢山の交響詩を書いてきたシュトラウスだからこそできる技法ですね。

まとめ

今回はシュトラウスが作曲した交響詩「ツァラトゥストラはかく語り」の分析・解説や楽曲構成、聴きどころについてまとめさせていただきました。やはり交響詩を沢山書いていただけあって面白い内容が盛り沢山で聴く人が飽きない様に工夫が施されていますね。ぜひ、この作品を聴く機会がありましたらこの解説と共に聴いてみてください。場面を思い浮かべながら聴くことによってより情景をより想像することが出来ると思いますよ。

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>>リヒャルト・ゲオルク・シュトラウスってどんな人?その生涯や性格・死因は?

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